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最前線で働くビジネスパーソンが押さえておきたい、時代の変化とその背景を理解する上で欠かせない注目書籍を、作家で元外交官の佐藤優さんが厳選する。政治や景気循環のせいではない、日本社会の長期停滞の真因とは?英国の二大政党対立の歴史が教える、戦略物資「石油」を巡る政策が混迷する理由とは?占星術やタロットカード占いの「師」が不幸な未来を宣告する行為を批判する訳とは?『かわいそうな日本の私』『石油危機とイギリスの北海石油』『今さら聞けない占星学』の3冊から「ここだけは読んでほしい重要な箇所」を紹介する。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)
政治や景気循環のせいではない
日本社会の長期停滞の真因
白井聡著『かわいそうな日本の私』は、日本社会の停滞の原因を景気循環や政治家個人の資質に還元せず、国家と国民が自らの運命を引き受ける主体性を失った故と説く。白井氏は、バブル崩壊後の政策転換について以下の見方を示す。
白井聡著『かわいそうな日本の私――主体性が枯渇した国の病理』ビジネス社、2026年9月刊行
〈「この政権(引用者注:小渕政権)は、バブル崩壊への対処として、大規模な財政出動を実行したことで有名だ。バブル崩壊以降の不況を「景気循環」における「不況」と考えた人たちは、処方箋はケインズ主義政策にあると考え実行した。
しかし、本格的な成長回復は実現しなかったので、小泉内閣が「自民党をぶっ壊す」と訴えて颯爽と登場してくる〉(148ページ)
ここで重要なのは、財政支出の成否という個別論点よりも、経済の長期停滞が政治的な物語へと変換される過程である。小泉改革の登場を「改革者の決断」として賛美するだけでは、政策転換を生んだ構造的条件が見えなくなる。
白井氏の議論は、資本主義の危機を経済・政治・イデオロギーの連関から捉えようとするマルクス・レーニン主義の方法論に基づくものだ。社会の全体構造を見る上で左翼的方法は有効だ。もっとも問題は、社会主義・共産主義革命というマルクス・レーニン主義の処方箋を共産党員と新左翼の活動家を除く圧倒的多数の日本国民が選択しなくなっていることだ。







