図1-1 縄文杉図1-1 縄文杉(提供:一般社団法人屋久島観光協会)

 これまでに得られた様々な科学的な知見を統合すると、縄文杉は3000年に少し及ばないくらいの年月を生き続けているようです。7200歳には遠く及びませんが、それでも驚異的な樹齢であることには変わりません。ちなみに、3000年前は縄文時代にあたりますが、そのときから生き続けているのが縄文杉の名前の由来です。

細い竹が「数千年」も
生きているかもしれない

 縄文杉の長命は有名ですが、それに匹敵する齢を重ねている植物が身近にいることはあまり知られていません。例えばこれから紹介するタケの一種、ハチクです。

 縄文杉の堅牢な幹とは違い、ハチクの稈(1本1本のタケの幹をこう呼びます)はひょろひょろですから、ハチクが長命な植物だと言われてもピンとこないかもしれません。

 しかし、見かけに騙されてはいけません。ハチクは少なくとも1000年以上、もしかすると数千年も生き続けている、縄文杉に並ぶ長寿植物かもしれないのです。

 縁起の良い植物である松竹梅にも数えられているタケの開花が、2020年ごろから日本各地より聞こえるようになりました。今回開花しているのは、ハチクと呼ばれているタケです(図1-2)。新聞やテレビでも報道されることもあるので、もうすでにご存じの読者もいるかもしれません。私はハチクの生態調査を続けていますが、この調査が明らかにしたことは、ハチクが不老長寿化していることでした。まずは、ハチクの開花がなぜニュースになるのかを説明しましょう。