毎日のミーティングで、指示なしに動くチームへ
F:なるほど。これなら担当者も分かりやすいですね。いわゆるペルソナ設定。ペルソナ分析だ。
山:ここで重要なのは、細かな数値を決めようとしたわけではないということです。
一般的なペルソナ分析では、特定の人物の生活を詳しく調べて、その人に合わせた寸法や性能を決めていくことがあります。でも今回は、そういうやり方はしませんでした。
例えばステアリングの操作力を何ニュートンにするべきか。具体的な数値は、その分野の専門家が決めれば良い。でもその判断をするときに、必ずサラさんのことを考えている。それが大事です。
その考え方を浸透させるために、毎日ミーティングを続けました。一時期は300人ぐらい集まって、開発メンバーにサラさんの話をしました。何か課題が起きたら、それをどう考えて解決するのかをみんなで共有する。そうすると、次に似たような課題が起きたときには、担当者が自分で判断できるようになります。これを2年間続けました。
そうしたら、私が指示を出さなくても「サラさんだったら、こっちの方がいいんじゃないか」という話が、開発メンバーから自然に出るようになったんです。
F:こうなると開発がグッと進めやすくなる。
山:中には「サラさんって、うちの妻に似ている。自分が買うクルマとしても造れる」と言って、一生懸命開発に取り組んでくれたメンバーもいました。共通の価値観を持つことができればエンジニア一人ひとりが、自分の専門分野で最善の判断をできるようになる。
ロータリーのスポーツカー2台持ちのエンスーエンジニアが、数百人の技術者たち、そしてその先にいる数千人のサプライヤーにまで毎日考えさせ続けたのは、アメリカで忙しく暮らすサラさんのことだった。組織マネジメントとして非常に興味深い。
CX-5の説明スライド Photo by A.T.







