国連の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、195ヵ国が参加)は、9月27日、ストックホルムで総会を開き、地球温暖化は人間の活動が主因である、とする作業部会の報告書を承認、公表した。この報告書は、世界中から集められた気鋭の専門家の手によるものである。IPCCが報告書を公表するのは6年ぶり5回目のことであるが、加盟195ヵ国の承認を得ているため、今後の国際的な対策をまとめていく上での科学的な拠り所となるものと見られている。
今世紀末に気温4.8度、海面82㎝上昇
IPCC報告書のポイントは概ね以下の通りである。
報告書は、石炭や石油に代表される化石燃料の利用等によって二酸化炭素(CO2)等が大気中に大量に排出され、1880年から2012年の間に気温が0.85度上昇したと指摘。こうした温暖化の主因は、人間活動がもたらした温室効果ガスである可能性が極めて高い(95%以上の確率)と断定した。そして、その1つの現われとして、頻発する異常気象をあげた。集中豪雨や竜巻、猛暑や熱波、巨大台風の発生など地球規模で見れば枚挙に暇がないほどだ。現に、今夏の東京でも、気象が極端に振れることは十分実感できたのではないか(まるで、熱帯地方にいるようだと述懐した人もいた)。
このまま推移すればどうなるか。報告書は、2000年前後に比べて今世紀末の海面は最大82㎝、平均気温は4.8度上昇するとの見通しを示した。環境省のHPによると、仮に海面が60㎝上昇すると、三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)のゼロメートル地帯の面積、人口がともに5割ほども拡大するので、高波・高潮リスクの増加が深刻な事態をもたらす恐れがある、と警鐘を鳴らしている。