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日本法人設立50周年を迎えた日本ヒューレット・パッカード。世界を代表するグローバルカンパニーだ。個人向けのパソコンやプリンターから、ITソリューションなどのB to Bまで広い商品構成を持つ。その日本法人のファイナンス部門を率いているのが伊藤孝・取締役常務執行役員。一貫して米系企業のファイナンス部門でキャリアを積んできた伊藤氏は、ファイナンス部門の仕事は“嫌われてなんぼ”だと笑う。その真意はどこにあるのだろうか。(構成・編集/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
レイオフできるかが
改革の正否に関わる
1985年4月日本アイ・ビー・エム入社、主計に配属される。88年税務。99年5月米ニューヨーク州アーモンク本社出向、アジアパシフィック担当。2000年5月ニューヨーク州ソマーズ事業所、サービス事業担当。01年4月アジアパシフィック本社(東京)。05年、理事に就任。09年1月、同社退職後、2月日本ヒューレット・パッカード入社。6月執行役員就任。10年6月、管理統括。11年1月取締役常務執行役員管理統括に就任。
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日置 ここ数年、日本企業ではオペレーションの統合・集約化といった“センター化”を合言葉に、コスト削減に取り組んできました。ところが、一向に進んでいないという声はよく聞きます。欧米系のグローバル企業では、ITやファイナンスの部門でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を進めて、コストの安い中国やインドに拠点を集約するということも珍しくない状況です。伊藤さんはずっと米系企業の管理部門でキャリアを積んでこられて、こうした現状をどのように見ていらっしゃいますか?
伊藤 外から見ていて、私はこうしたセンター化などのコスト削減に対して取り組むとき、欧米系企業と日本企業の大きな違いは、従業員の配置転換、場合によってはレイオフができるかどうか、だと思います。ある意味、これが全てですね。
組織内のコストの三大要素は「人」、「IT」、「スペース」です。ITのセンター化をするときは、効率化と考えていけばセンター化については比較的スムーズにいくことが多い。ITのセンター化ができれば、拠点ごとにあったサーバーやデータセンターなどが一ヵ所に集まるからスペースが削減できます。
しかし、人の問題は最後まで残ります。欧米ではここでスパッと配置転換させたり、レイオフに踏み切ったりすることが多い。しかし、日本の場合は労働法制の関係もあって、なかなかできない。