「このところ、つい怒りっぽくなった」
 「部下に言い過ぎてしまった」
 「上司の理不尽な要求に、いつもイライラしてしまう」

 …など、思い当たることがないだろうか?

 かく言う筆者も、40代に差しかかってからは、がぜん怒りっぽくなってしまったと自覚している。また記憶に新しいところでは、大手衣料チェーンで店員相手に土下座を強要して逮捕されたという女性のケースがあったが、一体何が彼女を駆り立て、怒りのボルテージを上げさせたのだろうか?

 ビジネスの現場でも、「怒り」の感情はつきものだ。上司や先輩から激しい叱責を受けて、落ち込んでしまった経験のある人もいるだろう。また、怒りにまかせた非常識な行動で、一瞬にして信頼を失ったこともあるかもしれない。

 そんな怒りを「マネジメント」するスキルが今、注目されているのをご存知だろうか? その名も「アンガーマネジメント」。1970年代にアメリカで生まれた「怒りの感情を制御する方法」だ。政治家や弁護士、医師をはじめ、多くのビジネスパーソンが取り入れている心理教育でもある。

大手企業も「怒りの管理術」を導入

 昨今では、日本でもアンガーマネジメントを導入する職場が増えており、大企業などでも研修に力を入れているという。例えばある大手総合商社では、定員に対して数倍の応募があるほどの人気ぶりだ。

 研修の内容は、数名のグループに分かれて叱り方の実践訓練をするなど本格的だが、参加者のなかには「パワハラを恐れてきちんと叱れない」「最近の若手は叱られることに慣れていない」といった声もあり、上司の戸惑いや苦悩が透けて見える。

 また大手OA機器メーカーでは、管理職を中心に研修を行ったことで、「怒りのタイプ診断シート」で自分の怒りの特徴を俯瞰的に検証することができたそうだ。結果的に社員各々のストレスコントロールにつながったと好評だ。

 興味深いのは、アンガーマネジメントが精神論でも自己啓発でもなく、知識と技術を組み合わせた「スキル」だということ。例えば、怒りを感じた時には、

 呪文を3回唱える
 怒りの境界線を意識する
 怒りの強度を測る

 …などの方法がある。要するにイライラや怒りを爆発させる前に、一旦立ち止まる習慣をつけることがポイントだ。

 アンガーマネジメントを日本に紹介し、各種セミナーを行っている一般社団法人「日本アンガーマネジメント協会」によれば、自分自身の怒りを理解してコントロールすることで、プラスへの変換も期待できるという。それが人間関係を良好にし、仕事の効率も上がるなど、よい循環が生まれるのだ。

「自分の感情を制御できない」「パワハラを意識して叱れない」…といったお悩みを持つビジネスパーソン諸氏は、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。

(田島 薫/5時から作家塾(R)