超金融緩和策が招くバブルが欧米で警戒されている。「住宅価格は力強く上昇しており、過大評価の可能性を排除できない」。

 独中央銀行のブンデスバンクは10月月報でそう警告した。ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルン、フランクフルト、シュツットガルトの住宅価格は、人口動態と経済要因で説明できる水準を20%上回っているという。ブンデスバンクは、表向きは、マクロ経済の脅威にはいまだなっていないと述べているものの、本音はかなり心配している様子だ。

 英国でも住宅価格高騰が社会問題化している。これまで財政再建策一本やりだったキャメロン政権は、2015年の選挙を意識し始めたのか、住宅ローンへの補助政策「Help to Buy」を導入した。しかし「住宅バブルを助長するだけではないか?」などの批判が続出している。

 それに対してオズボーン財務大臣は、「われわれが設立したFPC(Financial Policy Committee)がある。それは政策上の防弾システムだ」と発言、バブル監視の責任をイングランド銀行のFPCに押しつけた。

 FPCは今年新設された委員会で、バブルが心配になったらMPC(金融政策委員会)に金融引き締めを行うように勧告する。政府にHelp to Buy政策をやめるように助言することもできる。とはいえ、住宅バブルをつぶせるほどの「政治的資本」をFPCは実際持っているのかというと、ロンドンでは懐疑論が多々聞こえてくる。