10月30日に上期の決算を発表した任天堂は、2期連続の営業赤字となった。スマートフォンやタブレットにゲームユーザーを奪われ、2012年に発売した「Wii U」はソフト不足で低迷。任天堂は巻き返せるか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

任天堂はもはや浮上できないのではないか──。同社の2013年4~9月期の連結決算はそんな印象すら与える。営業損益は232億円の赤字。売上高も前年同期比2%減の1965億円に低迷した。

 12年12月(欧米は11月)に満を持して発売した据え置き型ゲーム機の「Wii U」が不振の上、普及させるために低価格で販売し逆ざや(売れれば売れるほど赤字となる)が発生しているためだ。

 Wii Uは、累計1億台以上を売った「Wii」の後継機として、収益の柱の期待がかかっている。しかし、通期の販売目標として900万台を掲げてスタートしたものの、4~9月期の実績はわずか46万台にとどまった。そのため、決算説明会でも「販売台数目標を下方修正しないのか」という質問が相次いだ。

 だが、任天堂の岩田聡社長は「14年3月期の通期の営業利益1000億円の見通しは変えていない。すなわち、Wii Uの900万台の販売目標も変えていない」ときっぱりと言った。

年末商戦に懸ける任天堂の岩田聡社長。Wii Uの年間販売数900万台の目標も下方修正しないという
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 勝算はどこにあるのか。年間売上高の3~5割を売るといわれているクリスマス・年末年始商戦(10~12月期)で巻き返しができると考えているのだ。Wii Uについては、「スーパーマリオ3Dワールド」や「Wii Party U」「マリオ&ソニック ATソチオリンピック」といった人気タイトルを投入する。さらに、14年2月にはWiiを爆発的にヒットさせた「Wii fit」のWii U版を発売する。

「ゲームの業界では、人気のあるソフトが出てハードを一気に普及させるのはよくあること。1996年に“ポケットモンスター”が出てゲームボーイが爆発的にヒットした」(岩田社長)