株式を中心にリスク資産が買われているが、国際商品はそうした動きから、取り残された感がある。

 例えば、原油は、イランの核開発問題をめぐる緊張緩和が価格押し下げ要因になっている。イランでは8月に保守穏健派のロウハニ大統領による政権が発足し、米欧との緊張が緩和しつつある。11月24日には、同国と6カ国(米英仏中露独)が、核問題の全面的解決に向けた3段階の措置のうち「第1段階」で合意した。

 また、リビアでは大規模な原油生産・出荷の障害が続いているが、サウジアラビアの増産などによりカバーされている。シリア内戦は混沌としているが、米欧による軍事介入の懸念は後退した状態であり、米国、ロシア、国連による和平への準備が進められつつある。

 地政学リスクの影響を受けやすいブレント原油の価格が抑制される中で、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は下落しやすくなっている。シェールオイルやオイルサンドの増産を背景に、需給が緩和しやすくなっているためだ。

 銅については、チリ、モンゴル、ペルー、コンゴなどでの鉱山開発の進展で、需給が緩み気味で上値が重い。銅は、2008年までの価格高騰を受けた鉱山開発が他の金属に比べて遅れていたが、ようやく新規鉱山からの生産が軌道に乗ってきている。供給超過がしばらく続くとの観測が優勢になっている。ニッケルについても、インドネシア政府が鉱石禁輸策を来年から実施する可能性が懸念材料であるが、これまでのところフィリピンの鉱山などでの増産が本格化し、需給が緩和している。

 欧州危機などによるリスクオフ局面では、資金逃避先として人気があった金は、米国の量的緩和がいずれ縮小に向かう方向にあり、金利上昇が意識される局面では、敬遠されがちになっている。