トヨタ自動車の豊田章男社長が、ユーモアを交えてこう言った。
「今日は、実物よりずい分と男前になった私の分身が、生中継で日本中のネット世代の方々と対話させていただいております」。
東京モーターショーに展示されたトヨタの電気自動車コンセプトカー「FT(フューチャー・トヨタ)-EVⅡ」。映画「スターウォーズ」に登場する移動体内部のようなファンタジックな近未来感がある。 |
第41回東京モーターショーの報道陣向け記者発表の模様は、トヨタのウエブサイトGAZOO.com内に設置された仮想空間「トヨタメタポリス」のバーチャル会場と結ばれていた。この、ユーザーと報道陣を「情報配信レベルで同列化」した広報宣伝手法を、トヨタは今年5月18日の新型プリウス発表会でも披露している。
実像と仮想像が入り混じった会見中、豊田社長は電気自動車について、こう持論を展開した。
電気自動車の「FT-EVⅡ」、燃料電池車の「FCHV-adv」と並んで紹介された「プリウス プラグインハイブリッド コンセプト」。 |
「ところで、ハイブリッドカーと電気自動車が、まったくの別物であるかのようにおっしゃられる方がいます。しかし、プリウスに代表されるトヨタのハイブリッドカーは、ガソリンエンジンを使わず、電気だけでも走行できる、いわゆる『EV走行』が可能なクルマで、すでに『半分は電気自動車』なのです。(中略)トヨタはハイブリッド一辺倒という訳ではございません。(中略)トヨタは、お客様や社会から『100年後もこの世界にいてほしい』、『必要だ』といっていただけるように、準備を進めています。そういう意味で、次にご紹介するのが『プリウス プラグインハイブリッド コンセプト』、都市部などの近距離の移動に適した小型の電気自動車『FT-EVⅡ』、走行中は水しか出さない燃料電池車『FCHV-adv』の3台です」。
報道陣に大人気!「FT-86コンセプト」。 |
だが、今回の豊田社長のプレゼンの中では、上記の3台よりも、講談社・週刊ヤングマガジン連載漫画『頭文字D』(しげの秀一著)でお馴染みの旧カローラレビン(車両名称による通称ハチロク)の現代版といえる「FT-86コンセプト」と、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースに参戦したスーパースポーツ「レクサスLFA」に対するコメントの方に熱が入っていたように見えた。