アベノミクスの中身と成果
そして2014年に向けての課題は

 2012年12月26日に発足した第2次安倍政権が打ち出した経済政策が「アベノミクス」だ。アベノミクスは3つの「矢」から成り立っている。第1の矢が「大胆な金融政策」、第2の矢が「機動的な財政政策」、第3の矢が「民間投資を喚起する成長戦略」。

 まず第1の矢としては、13年4月4日に、黒田東彦新総裁に率いられ日本銀行が「異次元の金融緩和」と呼ばれる大胆な金融緩和策を実施した。今後2年間で消費者物価指数の前年比2%増を実現するために、マネタリーベースを14年末に2倍に、長期国債買い入れの平均残存期間を2倍以上に延長する、言わば「2倍づくし」、「倍返し」の内容だ。狙いは、「失われた20年」の重しとなっていたデフレ(継続的な物価の下落)からの脱却にある。

 第2の矢については13年1月に、過去2番目の規模となる13兆円規模の12年度補正予算を組んだ。第3の矢については、6月14日に成長戦略の基本方針を示した「日本再興戦略」を閣議決定、続く10月1日には同戦略の実行を加速し、強化するため、「成長戦略の当面の実行方針」が、日本経済再生本部で決定された。

 これまでの成果はどうか。様変わりしたのが、株価と為替。衆議院が解散された12年11月から、安倍政権誕生・金融政策の転換期待によって、株価は反転上昇、為替は円安に転じた。安倍政権発足時の日経平均株価1万0230円、円ドルレート85円に対して、13年12月20日の平均株価の終値は1万5870円で実に55%も上昇、円ドルは104円で2割強の円安となっている。これを受けて、輸出企業を中心に企業業績は大幅に改善した。

 実質GDPも13年第1四半期(1月~3月)4.5%(年率換算)、第2四半期(4月~6月)3.6%、第3四半期(7月~9月)1.1%と、景気は回復を続けている。消費者物価指数(生鮮食料品を除くコア)も、対前年同月比で9月0.7%、10月0.9%と0%を超えてきた。これまでのところ、アベノミクスは総じて効果をあげてきたと言えるだろう。