国土交通省の調査によれば、2010年の狭義のテレワーカー数は約1000万人と推計され、5年前と比べて約50%の伸びを示している。とはいえ、欧米と比べると日本ではテレワークを導入する企業はまだ少ない。「グローバル化の進展とともにさらなるホワイトカラーの生産性向上が求められる今こそ、社員に働き方の裁量を与えるテレワークで仕事の質を上げるべき」と語る社団法人日本テレワーク協会 有馬利男会長に、テレワークが生み出す効果について聞いた。
有馬利男 会長
1967年国際基督教大学教養学部卒業後、富士ゼロックス入社。総合企画部長、Xerox International Partners(米国)社長兼CEOを経て、2002年に富士ゼロックス代表取締役社長就任。07年退任。現在、同社相談役特別顧問のほか、社団法人日本テレワーク協会会長、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク代表理事なども務める。
――テレワークにはどんな形態があるでしょうか。
有馬 働く場所によって三つに分類できます。在宅勤務、外出先や移動中に仕事をするモバイルワーク、本社から離れたオフィスで仕事をするサテライトオフィス勤務です。しかし、実際には、モバイルワーク主体の人も在宅勤務をすることもあれば、サテライトオフィス勤務主体の人もモバイルワークすることもあるので、これらを組み合わせた柔軟な働き方を総称して「テレワーク」と呼んでいます。
――日本テレワーク協会の主な取り組みを教えてください。
有馬 協会の自主事業は、テレワークを推進する企業の表彰(テレワーク推進賞)や、企業内でのテレワーク推進担当者向けセミナーの実施、協会内でのテレワーク普及推進に関する研究会の開催、テレワーク白書の発行などです。
委託事業については、厚生労働省からの委託でテレワークを導入しようとしている企業から相談を受ける「テレワーク相談センター」事業、国土交通省からの委託による、首都圏6ヵ所での「共同利用型テレワークセンター」の開設・運営事業です。後者はこのほど当協会の自主事業として継続となりました。