2013年は日本が大きな転換に踏み切った年だった。経済面では何と言っても「アベノミクス」に尽きる。黒田日銀が「異次元金融緩和」に踏み切り、10兆円を超える補正予算も手伝って、日本経済は回復基調に入った。さらに、2020年の東京オリンピック開催も決定、楽天の田中将大投手が24連勝という前人未踏の大記録を打ち立て、同球団は初の日本一にも輝いた。総じて日本経済には明るい雰囲気が戻りつつある。一方、安倍首相は年の瀬になって靖国神社に参拝し、日中、日韓との関係改善はさらに遠のいたようにみえる。

さて、新年はまず4月に消費税増税が実施される。景気への影響が懸念されるものの、財政再建には道筋がついたとは言い難い。さらに緊張高まる東アジア情勢に、安倍政権はどう対処するのか。2014年は午年。軽やかに駆け抜けることができるのか、暴れ馬のごとき年になるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、新年を予想する上で、キーとなる5つのポイントを挙げてもらった。連載第9回は、船井総合研究所上席コンサルタントの岩崎剛幸氏による、商業施設の潮流についての予測を紹介しよう。

商業施設開発には「体験型」と「滞在型」がカギ <br />“ちょっとはずれの東京”に新施設続々で熱い!<br />――岩崎剛幸・船井総合研究所上席コンサルタントいわさき・たけゆき
平成3年、株式会社船井総合研究所入社。現在、同社、上席コンサルタント。「戦略は思いに従う」を信条にファッションを専門分野として、現在では百貨店、アパレルメーカー、SPA専門店を中心としたアパレル、流通小売業のコンサルティングに従事している。現場支援と通算2000回を超える講演活動により、情熱に満ち溢れた企業づくりにまい進している。この数年のコンサルティングテーマは「永続するための企業ブランド戦略づくり」。社員が誇れる会社を作るためのコンサルティングに全力を注いでいる。

①エクスペリエンス型モールが
商業施設開発の主流になる

 2013年12月にオープンしたイオンモール幕張新都心(千葉)は、エクスペリエンス型モールの代表例だ。お客様の目の前で調理する光景を見せるフードコートや、職業体験のできる施設、ペットのリハビリからボルダリング体感ゾーンなど、同店で導入している“体験”というコトの提案が、これからのSC開発において不可欠な要素となるだろう。

 お客様にいかに楽しいコト、おもしろいコト、感動的なコトを体験させられるか。魅力的なモノを集めることは大前提として、そこに体験型消費や体験型サービスなど、具体的に体験できる場所を付加することが成功のポイントとなる。2014年11月オープン予定のイオンモール岡山(仮称)はその代表的な地方店舗となるだろう。