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うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代

ネット時代の「リアル店舗の逆襲」

石黒不二代 [ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]
【第3回】 2014年1月29日
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 そもそもAmazonのミッションステートメントは、“地球上で最もお客様を大切にする企業になること(Earth's Most Customer-Centric Company)”です。これを見ただけで、Amazonが目指すものが “世界最高のEC”ではなく、世界最高の顧客体験であることが想像できます。だからこそ、Amazonは、ECの使い勝手やリコメンデーションだけでなく、巨大な倉庫を多額の費用をかけてつくり、いち早く商品をピックアップできるシステムをつくり、世界最速のデリバリーを目指しているのです。

 Amazonをネット企業と見ると、オムニチャネル時代の戦略を間違って理解してしまいます。巨大な倉庫を数千億でつくるだけでは、Amazonの挑戦は終わりません。あるユーザー層にとっては、自宅配送よりも、コンビニで商品を受け取ることによって利便性が高まると考えるからこそ、Amazonの宅配ボックスは始まりました。それは、Amazonが、顧客中心主義だからこそできる、オムニチャネルの戦略なのです。

 また、Amazonは、ヘリコプターによる無人配達航空機「プライムエアー」を実験中です。30分以内で商品を運ぶことを目標としているとのこと。法律の壁もあり、まるで夢のような話ですが、同社は2015年のアメリカでの実現を見込んでいるとのことです。

「おもてなし」を戦略に入れれば
日本が世界に誇れるサービスに

 昨年は、「おもてなし」という言葉が話題になりましたが、日本のリアル店舗のおもてなしは、実際に世界に類を見ないほどのクオリティーの高さを誇っています。私自身は、アメリカに住んでいたことがあり、宅配が来ない、アポを入れたのに来ない、など様々な苦い体験をしました。日本のサービス業の質が高いことは、海外に住んでみると、改めて実感できるものかもしれません。同じように、日本のサービスを受けた海外からのお客様たちは、コンビニやファーストチェーンなどでも、感動するようなサービスを受けた体験を口にします。

 私が提唱したいのは、この実店舗のサービスレベルをもってして、「オムニチャネル」戦略を立てるということです。ネット戦略だけの時代には、残念ながら日本は欧米に勝つことはできませんでした。そして、日本の小売業もグローバルでは、まだ、トップをとれずにいます。しかし、ネットがサービスになり、オムニチャネルになり、つまり、顧客戦略になったとたん、もともとサービスレベルが高い日本にチャンスが見えてくる気がするのです。

 買い物をすることも、受け取りも、リコメンデーションも、あまりに自然にできてしまうような絶対顧客主義こそが、ネット時代に遅れをとっていたリアル店舗や日本の扉を開けてくれることでしょう。

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[ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]


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こんなにすごい技術、製品がうちの会社にはあるのに、なぜ売れないんだろう…。これは多くの日本企業が直面している問題といえます。この連載では、インターネットが当たり前の時代において、経営の目線から自社の技術を生かしつつ、ユーザーに受け入れられてヒットする商品の作り方を解説していきます。

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