病院の診察室で血圧計を腕に巻かれたとたん、胸の鼓動が早くなる……。看護師の白衣を目の前にすると血圧が上がってしまう、いわゆる「白衣高血圧」をご存知の方も多いだろう。これは一時的な緊張で血圧が上がってしまう症状で、特に心配はいらない。

  「仮面高血圧」とは、逆に、病院外来での診察では正常値でありながら、実際の日常生活では高血圧を抱えている病態のことだ。

 誰でも簡単に計れる家庭血圧計の普及や、24時間の持続血圧モニタリングが可能になってきたことから、仮面高血圧の存在が意識され始め、近年注目されている。

 ヘビースモーカーやハードワーカーに多くみられ、医療機関の診察待ち時間にはいやおうなく喫煙を控えることや、つかの間仕事から解放されてリラックスすることから、診察時には血圧が低下すると考えられている。

 しかし、日常生活では再び高血圧状態が続くため、一般的な持続性高血圧同様、脳心血管リスクが高く、本来なら薬物療法などで治療すべき患者が見逃されていることもある。健康診断等で「異常なし」とされても、いま一度確認が必要、というわけだ。

 家庭で行う血圧測定の主なポイントは、

 1.決まった時間に測る(1日1~2回。朝は起きてから1時間以内、夜は寝る前)

 2.食後1時間以上経ってから(朝は食べる前)

 3.直前の喫煙、コーヒー、薬の服用は避ける

 4.常に同じ腕、同じ姿勢

 5.腕を締めつけない状態(薄手のシャツ程度は着ていても可)

 6.寒い場所で測らないこと。

 サイレント・キラーといわれる高血圧は、じわじわと私たちの身体(血管)にダメージを与えていく。高血圧対策は病院に頼るのではなく、自己管理の時代だ。

 これからの季節、秋から冬にかけての味覚には、血圧の安定に効果があるカリウムを豊富に含んでいるものが多い。きのこ、栗、さつまいも等を積極的に摂るようにしたい。