経営学の本質に迫るために100年後を予測する

 拙著の副題には、『グローバル経営の本質を「知の系譜」で読み解く』とあります。

 私は経営学者ですが、グローバル経営の本質を読み解こうとすると、それは考古学や経済学の知見を拝借し、さらには、100年後の未来予測をも試みる必要があると考えています。

 そのため、本書の第6部では、未来の世界がどうなるのかを延々と議論しています。もしかしたら、人によっては、なぜグローバル経営を取り扱う経営学に関係するのか疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、第6部を本書の一部とした理由は明確です。それは、世界の未来の方向性を理解し、議論せずして、グローバル経営の本質は見えてこないと私が考えているからです。

 国際経営論の本質は、統合されつつも、多様性を保とうとする、経営環境の集合体である世界経済において、経営体がどのようにその姿を変えていくのか、さらには、どう変えていくべきなのかを探るということです。それを議論するときに、近未来の世界を理解せず、また、議論するための手法に無知であるということは、本質を見誤ることにつながります。

 従って、国際経営論のフロンティアをみなさまにも考えていただきたいと思い、最後に未来予想の手法を簡単に解説することで、『領域を超える経営学』を締めくくらせていただいたのです。

 さて、また長くなってしまいましたね。

 今日もこのぐらいで。では、また。

マッキンゼーを退職したのち、オックスフォード大学でPh.D.を取得した琴坂氏。第4回では、世界中の叡智と生活をともにした在学中の経験をもとに、グローバル人材についてあらためて考える。次回更新は、3月3日(月)を予定。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

『領域を超える経営学——グローバル経営の本質を「知の系譜」で読み解く』(琴坂将広 

第3回<br />「マッキンゼーのスライドは白黒」は都市伝説<br />経営学にも欠かせない、本質を見抜く力とは?

マッキンゼー×オックスフォード大学Ph.D.×経営者、3つの異なる視点で解き明かす最先端の経営学。紀元前3500年まで遡る知の源流から最新理論まで、この1冊でグローバル経営のすべてがわかる。国家の領域、学問領域を超える経営学が示す、世界の未来とは。

 


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