2012年の21件から3件へ
東日本大震災関連講演は激減

手話通訳・リアルタイムでの音声の文字化(日本でいう「要約筆記」であるが、ほとんど要約は行われていない)などの情報保障は、必要とする人々が毎年必ず参加しているため、例外なく行われている。この写真は、シカゴ市長Emanuel氏が地域産業界と連携して中等教育・社会との接続を充実させる取り組みについて語っている場面での音声の文字化の様子
Photo by Y.M.

 2014年AAAS年次大会は、「Meeting Global Challenges: Discovery and Innovation(世界で挑戦する:発見とイノベーション)」というテーマのもと、2月13日~2月17日の5日間、シカゴにおいて開催された。参加者の総数は、約7600人であった。この参加者の中には、シンポジウムの発表や聴講のために参加した人々、報道関係者、高校生・大学生・大学院生などの学生・生徒、無料で入場できる展示のみの参加者・同じく無料で近隣の子どもたちを対象として開催される「Family Science Days」のみの参加者など、多様な人々が含まれる。規模だけでいえば、日本でもこれ以上の学術大会は数多く開催されている。しかし日本で開催される学術大会には、これほど多様な人々が参加することはない。

 プログラムを見る限りでは、

「まだ東日本大震災に関心を持っているのは、日本人だけなのかなあ?」

 という印象も感じられるところである。

 AAAS年次大会では、毎年5日間の会期中を通して、全部で150以上のシンポジウムが開催される。各シンポジウムでは、3~6件程度の講演が行われる。2014年のプログラムをキーワード「Fukushima」「Great East Japan Earthquake」で検索してみると、いずれも2件の講演が見つかる。うち1件が重複しているので、東日本大震災に関連して行われた講演は3件ということになる。東日本大震災翌年であった2012年のプログラムを検索してみると、「Fukushima」で16件、「Great East Japan Earthquake」で6件、重複している1件を除くと21件。数でみれば「激減」というべき変化である。

 しかも、2014年の3件の講演のうち、2件の講演者は日本人。残る1件の講演者は英国・ケンブリッジ大学の研究者なのだが、そのシンポジウムのオーガナイザーは日本人である。

「日本人が、日本の話をしていて、日本人だけが関心を持っている」

 という良くある図式だなあ……と納得されてしまう前に、この3つの講演の内容を紹介したい。本当に「日本人だから」で片付けてよいのだろうか?

「立ち見」が出るほどの
関心はどこから?

 5日間にわたる年次大会は、例年、2月中旬の木曜日に開催され、翌週の月曜日に終了する。会期中の土曜日と日曜日は、最も多くの来場者が訪れる。重要なシンポジウムの多くは、土曜日または日曜日に開催される。

 土曜日であった2月15日午後、シンポジウム「Science Policy-Making that Meets Social Challenges and Motivates Scientists(社会的チャレンジに対応し、科学者をモチベートする科学政策立案)」が開催された。このシンポジウムのオーガナイザーは、有本建男氏(政策研究大学院大学教授)である。

 このシンポジウムの内容の中心は、「科学・技術・イノベーションに関する政策はどうあるべきか」にある。複雑さを増す世界の中で、未だ不確かな情報も多い中で、何らかの政策決定を行わなくてはならないという状況。そこで、どのように政策が立案され、決定されることが望ましいのか。このような問題については、筆者は「原発推進」も「原発容認」も「反原発」も「脱原発」も関係ない、と考えている。今すぐは無理かもしれない。しかし時間はかかっても、意見や立場の違いを越えて協力関係を作ること「も」できる将来を目指さなければ、という思いがある。