情報の非対称性、つまり取引を成立させる当人同士の保有する情報に格差があると、正常に価格メカニズムが機能しないということで、売買が活発に行われにくくなる。市場で流通すべき量の情報の公開が進むと、売買が活性化される。また、買い主も買いやすくなり、安心して希望金額を提示できる。

 不動産の場合は売買物件の流通量が増えると、現在よりも取引価格の上昇が見込まれる。

 なぜなら、情報の公開が増える事で、現在のように仲介業者が「早く売り切るため」という業者本意の理由で決まりやすい金額=安い金額で成約という事が減るからだ。最終的には売り主と買い主が納得いくところで価格は落ち着くが、不動産価格は上がると言われている。

 こうした市場の整備が結果的に、容易に住み替えを促すことになり、流通量が増えるという好循環が生まれる。

不動産オークションが
失敗した2つの理由

 不動産は、相対取引が基本なので、株式市場のように証券取引所などでの公開買い付けは行われていない。しかし、「不動産を公の市場で買う」という方法がないわけではない。それが入札という方法だ。

 不動産を入札で買うというとまず思い浮かべるのは、公的機関や司法機関が行う競売物件だろう。

 不動産競売物件情報サイトなどを見てみると、常時かなりの数の物件が取引されている。その大半を占める裁判所から出された物件は、何らかの理由(ネガティブな理由が多い)で売りに出されており、一般の人がそれらを見定めて、指値を決めて応札することは難しいだろう。

 しかし、入札で不動産を買う事はアメリカなどでは広く行われている。日本同様に「誰でも気軽に」というわけではないが、競売サイトは数多く存在している。

 日本でも、かつて大々的に宣伝を行っていた不動産オークションサイトがあり、運営会社は東証マザーズに上場し注目を集めていた。

「これで日本の不動産業界も変わる」と注目を集めたものの、経営体質は万全ではなく、赤字が続き事業縮小を迫られた。現在ではほとんど機能していないようだ。

 オークション入札方式だから、明確な市場価格による取引を成立させるという“価格の透明性”と、中立な物件情報を公開という“情報の非対称性の解消”を前面に出していた。