なぜ勉強が嫌いで、授業は眠いのか

坪田 僕のケースで話をさせていただくと、高校3年生の生徒たちに「勉強は得意ですか?」と聞くと、8割の子が「苦手だ」って言うんです。「じゃあ、好きですか?」って聞くと「いや、嫌いだ」って、8割の子が言うんです。小、中、高と12年間も学校に通って最終的に「勉強が嫌い」、あるいは「不得意」って答えるなんて、残念な結果ですよね。

 じゃあなんで国家が、わざわざこんなに嫌われる、苦手と感じてしまう勉強を、12年間もさせるのか。そこには必ず、やっぱり意味があると思うんです。実際、勉強を好きになった人たちは「学問ってすごいな」とか「数学って美しいな」ってわかってるんですよね。その差は結局、「伝え方」なんじゃないかと思います。どう教えるかではなく、どう伝えるか。どう引き出すか。
 その点、『伝え方が9割』はタイトルだけで相手に言いたいことを伝えていますよね。「ああ、そうなんだ」と思って、手に取って、ページをめくってみる。でも、今の教科書じゃあ、誰も手に取ろうと思わない。日本最高峰の偉い人たちが、最高レベルに凝縮させて作った教科書なのに中身を見たいと思わない。その反面、『伝え方が9割』がすごいのは、技術が体系化されていて、実際にやってみようと思う気持ちになることなんです。

佐々木 僕自身、そんなに勉強は好きじゃなかったんです。ただ、親の期待とかも含めて、「勉強しなきゃ」みたいなことは、ずっと思っていました。でも授業になると、眠くて、眠くて。そのとき「僕は何てやる気がないんだ」と反省していました。一方であるときから、上智大学で非常勤講師をすることになったんですけど、最初の授業で誰も寝なかったんですよね。90分間もあるのに。

坪田 おー、さすがですね。

佐々木 一部の生徒から「これまで大学で受けてきた授業で、いちばん楽しかった」と言われたときに「この差は何なんだろう」と思ったんです。僕は、本の中でもたくさんの「伝え方」を紹介しましたが、「伝え方」はセンスではなく、技術なんだって思っています。