私たちの実践現場をたびたび訪れて、より具体的な指導をしてくれたのは、関東協豊会(現・協豊会)の鈴村喜久男氏だ。氏もまた大野耐一氏の下でトヨタ生産方式の確立に貢献した人物の一人だった。鈴村氏は「ムダに気づける人と気づけない人、それが生産性の差だ」ということを教えてくれた。

 トヨタ生産方式の導入を経験して学んだことは、「結果を生む術」だ。大野氏もたびたび「理屈じゃないよ、結果を出すことだ」と話し、「気づく」機会を現場で与えてくれた。

 いくら素晴らしい理論や技術があっても、利益という結果が出せなければ企業として存続できない。たとえば、会議であれば、必ず「なぜそうなったのか」という結果に対する原因の説明が求められる。それは悪い結果が出たときだけではなく、良い結果が出たときも同じだ。結果に対して真の原因を追究し、それを教訓に次のステップへと進んでいくことが産業人には求められるのである。


次回「トヨタ生産方式をヒントに、ホワイトカラーの業務を革新する」は、4月25日(金)配信予定です。

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