トヨタ生産方式を大野耐一氏らから直接学び、サムスン電子の改革を手伝ったことを契機に生まれた革新的な手法「業務プロセス可視化法」。ドラッカー博士の助言もあり、40年以上、人と組織の変革に人生を注いだ著者が送る『トヨタ式ホワイトカラーの業務改善 最少人数で最強組織をつくる』から、業務改善がなぜうまくいくのか、どういう効能があるのかを5つのテーマに絞って紹介する。
なぜ、業務改善は成功するのか?
5つのテーマから解説していく
モノづくりの現場を劇的に変えた「トヨタ生産方式」。同じように、ホワイトカラーの職務にも同様な改善はできないのか? もちろん、可能です!
ただし、同じようにはいきません。モノは感情を持たないため管理しやすいが、ヒトには感情があります。しかも、それを隠してしまう。だから、自分を守るためにウソをつくこともあるし、自分にしかできない仕事を固持することもあります。
変わるということに、畏怖の念を抱いているのかもしれません。知らず知らずに、彼らは会社の中で、抵抗勢力になっていることに気づいていないのも不幸なのです。
そのような心持ちの社員を相手に、業務改善を行なおうとするから、阻まれるのです。「忙しい」「やる意味がわからない」「おカネのムダだ」そのような声を聞いた方もいるでしょう。
不安がそのような言動に変化しているのでしょうから、その不安を取り除けばいいのです。著者が提案する手法もまた、社員のモチベーションを高めるために必要なことが盛り込まれています。業務改善という言葉を聞くと、ネガティブに考えがちですが、仕事への気づきが仕事を面白いものにし、「できた!できた!」という小さな積み重ねが会社を動かす原動力となるのです。
1.あなたの仕事に価値がある
今回、刊行された『トヨタ式ホワイトカラーの業務改善 最少人数で最強組織をつくる』の核となる業務プロセス可視化法は、言葉通り、業務のプロセスをすべて目に見えるかたちにします。誰がどんな仕事をしているのかを他人にみられる!? このみられるという行為に抵抗感を感じているのだから、まずは、その意味を伝えてあげればいいのです。
あなたがやっている仕事に多くのムダがあるかもしれない
→ ムダを除けば、仕事にかける時間が減る。もっとラクに働こう!
あなたができる仕事はどれぐらいあるのか
→ 足りないスキルは補っていく。使えるスキルは他部署の応援に使おう!
という風に置き換えてみます。