「要するに、昭和30年代の日本に、意思決定に1年かける会社はなかったはず。インドはまさにそのタイミングにあります。1年かけて300ページのレポートを作成するのではなく、企業の経営トップが即決していくスタイルを取り戻さないと、ビジネスチャンスを逃す。日系企業が高度成長期に持っていたダイナミックさが必要です」(徳山氏)

Albin David Rebello
(アルビン・デビッド・レベロ)
タタグループの不動産事業のCEOの後、インド最大のデベロッパーであるDLFのマネージング・ディレクターを務める。その後、Bharti RealtyのCEOを務め、Developer Group Pte. Ltd.を共同創業、CEOを務める。その他に、商工会会長等、数多くの公の重席を担う。

 一方のレベロ氏にも、日系企業やビジネスパーソンをどう見ているのか、日系企業がインドで成功を収める秘訣はどこにあるのか、などを聞いてみた。

「まず日系企業に知っておいてほしいのは、インドが親日国家であるということ。遡ればパール判事の縁もある。天皇や安倍総理も来印し、インド人に両国間の良好な印象を残した。また日本ブランドが全てにおいて高いクオリティにあることも、インド人は知っています」

 しかし、インドで購入できる日本製品は非常に少ない。スズキとホンダの認知度はダントツだが、逆にいうと他の日系企業の名は、数社を除いて知られていない。「インドへ進出している日系企業はざっと1000社ほどありますが、プレゼンスがあるのは数社だけ。他はこの数社の下請け仕事が多く、自分たちでマーケットへ切り込む気配を見せていません」(レベロ氏)という。

インドには人材が星の数ほどいる
日本人は現地の人々に深く食い込め

 そんなインド市場で日系企業が他国のグローバル企業と互角に戦うためには、どんな心得が必要だろうか。インドは人口が多く、とてもダイナミックで激しい競争が繰り広げられている。国土も広いので、ローカル起業家たちも地元でしのぎを削っている状況だ。レベロ氏はこう指摘する。

「インドには、マネジメント能力に優れた経営者がたいへん多い。人材は星の数ほどいます。まずはそうした現地の人々と組むことでしょう。市場を近くで、深く観察し、本気で付き合う覚悟がないと、激しい競争に飲み込まれてしまう。自国での競争のように、インドでもやるべきです。日本企業がもっとマーケット内部へ食い込んでくれば、相乗効果で、日系企業同士もやりやすくなるはずです」