——機器毎の使用電力量が分かったとして、それがどのようにビジネスにつながるのでしょうか。

 メリットはたくさんあります。例えば、私の家で実際に起こったことなのですが、去年の12月から今年の3月にかけて、我が家では電気代がものすごく上がってしまいました。12月に1万円、1月に1万6000円、2月に1万8000円、3月に2万2000円になった。

 これはおかしいぞ、と。でも普段なら「寒かったからかな」で終わってしまいますよね。ただ、機器毎の電力量を調べてみると、寝室のエアコンだけ、ものすごい電力量を消費していた。要するに、壊れかけていたんです。

 つまり、家電製品の買い替えリコメンデーションに活用できます。この情報をつかって、家電メーカーの広告にも活用できるかもしれない。これが当社の技術を活かして提供できる消費者へのメリットの、代表的なものです。

 また、トラッキング現象(コンセントのプラグにほこりなどがたまって電流が流れることで発火する現象)などが原因になって、火事が起こったニュースがありました。ああいう現象も、それぞれの機器の状況がわかるので、未然に防げるかもしれません。

スマート化の自立普及のための
エコシステムをつくる

——HEMSについては、国が予算をつけて普及させようとしてきました。ですが、なかなか普及するには至っていないと聞いています。

 はい、実際に何百億円という予算がつけられ、普及のために取り組んできましたが、ほんと小さなエリアでしか普及していません。

 その最大の原因は、やはり消費者にとってそれほどメリットがないからです。イギリスでも問題になっているのですが、日本と同じようにスマートグリッド化して、スマートメーターやHEMSを使って得られた情報を活かそうということをやっているのですが、消費者にとってはあまりメリットがなくて、電気代が上がるという状況になっています。

 国が主導して予算をつけてスマート化への投資をしているんですが、そのお金は電気代に上乗せするという形で徴収されます。消費者からすれば「電気代は上がってメリットなし、電気代の計測が遠隔化されただけ」ということになります。電力の供給側は得られた情報を活用して、送配電や発電の最適化はできるんですが……。日本でもこのままいけば、同じような状況を招くと思います。

 そこで、当社のシステムが導入されて、消費者にとってメリットが出せれば、ゆくゆくは政府が予算をつけなくても、自立的に普及するということにつながると考えています。