今、海外大学への進学が注目されている。留学を支援する「地球の歩き方 成功する留学」の留学カウンセラー、西澤めぐみさんにアメリカの最新大学事情を聞いてみた。
総合的な人物評価で合否を判定。専攻や編入でステップアップ
アメリカの大学は、柔軟性に富んでおり、入学してから専攻を変更できますし、1年生の1学期から他大学に編入・転校することも可能です。つまり大学進学後も敗者復活でハーバードを目指すことができる、それこそがアメリカの大学の魅力といえるでしょう。最初からトップレベルの大学に入るのは難しいですが、編入でいくらでもステップアップができるのです。
トップ大学ではSATという筆記試験が必須ですが、それ以外の大学ではSATがないところも多く、高校3年間の成績「GPA」とエッセーで合否が判定されます。GPAとは、今までとった成績の平均値、つまり内申書です。このGPAは大学や大学院入試だけでなく、奨学金の申し込みや就職活動などで総合成績の目安としても使われます。
大学の学期初めに先生が配るシラバスには、成績の評価方法が詳細に記載されています。例えば、1学期間に何回テストがあるか、授業中の発言がどの程度成績に反映されるといったことが明確に書かれています。学生は、それを確認してクラスをとっていきます。
大学3 年、4 年になると論文やレポートを書くことがとても多くなります。そのためには、日本の大学とは桁違いに膨大な読書が必要となります。また、少人数で行うディスカッション形式の授業がいくつもあります。猛勉強するアメリカ人学生からも大いに刺激を受けます。
学校選びは重要なポイント。アメリカの大学事情を知ろう
アメリカの大学には、4年制と2年制があり、4年制大学は、州立と私立があります。アメリカの場合、トップ大学の多くが私立。私立のなかにアイビーリーグがあり、リベラルアーツカレッジがあります。リベラルアーツカレッジは、生徒数1000〜2000人と人間教育を行っている小規模な大学。ここでの教育はすばらしく、幅広い教養と知識を身につけた社会のリーダーを育てることを目的としています。
2年制大学には、コミュニティカレッジとジュニアカレッジがあります。コミュニティカレッジは地域住民に職業訓練を提供する場として発展してきた学校で、18歳以上であれば誰でも入学できるのが特徴です。学習レベルもイメージしている高等教育機関とは異なることもあり、学業がおろそかになっている留学生もめずらしくありません。最近は、日本の企業もコミュニティカレッジの卒業を採用段階で評価しないこともあります。学費がリーズナブルなので留学先として検討している人も多いようですが、編入が希望通りに行かないなど様々なリスクがありますので、将来後悔しな いよう、長い目で見て選択していただきたいと思います。
一方、ジュニアカレッジは、1000人程度の小規模校が主流。少人数ですからきめ細かいサポートが受けられ、4年制大学への編入体制も充実しています。学生寮も完備しています。
例えば州立の総合大学は、学生数2万人超えのマンモス校。大教室で行う一般教養の授業は、もちろん英語ですから、まだ英語力に自信がない留学生にとってハードルが高いもの。そうした心配の少ない、リベラルアーツかジュニアカレッジで2年間学び、それから編入するコースがおすすめです。
近年、「パスウェイ・プログラム」が注目され始めています。高校生が大学に入学して授業を受けられるレベルの英語力がなくても、語学研修と一般教養の授業を同時並行で履修できるプログラムで、アメリカの州立や私立大学、カナダの州立大学などが導入しています。英検2級程度の力があれば、英語の授業のサポートを受けながら、一般教養の授業も履修することができます。