2014年の首都圏中学入試も終了し、各学校の入試状況が明らかになった。ここ数年、前年比減少傾向が続いてきた2月1日の受験率は、下げ止まってきた感がある。一方グローバル化に対応する教育改革が急がれる中、受験生の動向も気になるところ。今年の入試結果を振り返りながら、来年度の入試動向や、学校選びについて、森上教育研究所の森上展安氏に聞いた。
──今年の入試結果を振り返っていただけますか?
森上 ここ数年、首都圏の2月1日受験者数、対前年比2%減少という傾向が、今年は1%台に下げ止まりました。しかし、一人当たりの併願校数は前年同様減っており、多くの方が2月2日までには決着をつけようという短期決戦になっているようです。
難易度別の比較では6年前のデータと比べるとわかりやすいのですが、偏差値45以下の学校で4割減。偏差値50から60台の学校でも1割弱の減になっています。倍率も偏差値55〜60と45〜50のゾーンで2倍強、40以下の学校は1倍台になっています。また、2.5倍前後を保っている学校でも、隔年現象がみられます。
また、一つの学校の入試日が変わったことが、他の学校にもダイレクトに影響を与えています。例えば今年は、本郷が1日に入試日を変更した影響で、攻玉社、桐朋、世田谷学園などで倍率が下がりました。つまり、受験生が減っている中、学校間の競争が激しくなっているのです。
──全体的に受験者数が減っている中で、受験生を集めた学校には、どんな特徴や傾向がありますか?
森上 2月1日入試実施校の中では、鴎友学園、頌栄女子学院、吉祥女子の3校は安定して受験生を集めています。鴎友学園は東大に二桁合格者を出したこと、頌栄女子は国立大学進学者を増やしたこと、吉祥女子はきめ細かい進学指導などが評価された結果だと思います。
また、千葉県では渋谷学園幕張を始め、東邦大東邦、市川、昭和学院秀英、芝浦工大付属などが3倍前後と高い倍率を維持。埼玉県は、栄東と開智が同日に入試を実施したことで、栄東が受験生を集めました。
逆に、神奈川の女子校は、山手の御三家を筆頭に、学校の実力如何に関わらずどこも受験生が大幅に減少しました。特に横浜北部と西部の学校は受験生を減らしています。
一方、公立中高一貫校は全体の受験者数は減っていますが、それでも倍率はさほど変わっていません。白鷗、小石川、桜修館、両国が今年も東大に5名以上の合格者を出したので、コストパフォーマンスとしても人気があるのはうなずけます。
トピックとしては、平成28年度に神奈川県のサイエンスフロンティア高校が中学を併設する予定を発表しています。それに対応して近隣の中学校が入試日を変更するかもしれません。