「このような研究は古くからされており、今回発見されたリュウグウノツカイやサケガシラと地震との関係を調べた研究者も、過去にいました。この2種類の深海魚はとても特徴的なので、捕獲の記録が古文書にも残っているようです。その捕獲の記録と地震の関係を調べたところ、大部分には関係性が認められなかったようですね」

深海魚が揚がる本当の原因は
日本海の地形と水温の変化か

 では、なぜ今回のような深海魚の大量発見が起きているのだろうか。尼岡氏はその理由を、日本海の海況(海の状況)の変化だと述べる。

「リュウグウノツカイやサケガシラは、沖合いの水深200~1000mほどの中深層域に生息しています。そしてこれらの種類が好むのは、水温20℃以上の暖かな環境。そのため、時期が来ると暖流に乗って日本海の方へと北上するのが普通です。

 今回の発見は、この日本海側で相次いでいるのですが、日本海は盆地のような地形になっており、下層には15℃以下の冷たい水がたまっています。最近はこの低水温の層が厚みを増しており、リュウグウノツカイやサケガシラがこの層に遭遇することが増えていると考えられます。

 低水温に当たるとこれらの魚は衰弱するため、表層近くに浮き上がり、網にかかったり浜辺に上がったりするのでしょう。このようなことから、海況の変化が一番の理由だと考えます」

 深海魚の発見のほとんどが日本海であり、海況は気象と同じように季節や年によりかなりの変化がある。それらのことから、海況の変化が要因であると考えるのが最も自然だという。もちろん、海況の変化には地球温暖化などの影響もあると推測することは可能だろう。

 ひと口に深海魚と言っても様々な種類があり、水深300mほどの海域であれば、キンメダイのように私たちにとって馴染みの深い魚も見つけられる。だがさらに深海に住む魚たちは、日光が届かず生物が少ない、つまりエサが少ない環境にいるため、様々な方法で生き延びる術を身につけていく。

 たとえば、泳ぐ機会を減らして体力消費を抑え、必要なエサの量を少なくするのもその1つだ。