「もし『結果』を目標に据えた場合、ミスは結果に直結するため、極端にミスを恐れてチャレンジしなくなります。つまり、これは結果を気にし過ぎている状況で、マイナスイメージばかりが頭に浮かんで無難になってしまいがち。こういう心理になると、勝負の世界では勝てないケースが多くなります。対して、『過程』を目標に据えると、それまでの努力が自信になりますし、よりチャレンジしやすい心理状態になると言えますね」(同)

結果重視の選手は単純ミスも起こし易い
意識すべき「課題目標志向性」の考え方

 とはいえ、こうした志向性の転換もそう簡単な話ではない。たとえばスポーツの世界では、「勝ちを意識すると負ける」という言葉がある。大儀見氏によれば、これは「自分が点を取って有利になった瞬間、途端に自我目標志向性に変わってしまう。『勝てるかもしれない』と結果を意識してしまうことで、ミスを恐れ、それがプレーに出てしまう」とのこと。

 だからこそ大切なのは、いかに普段から過程を重視した目標設定を自分に言い聞かせていくかだという。

 W杯という「結果が求められる大会」だからこそ、大儀見氏は「結果の前の過程をいかに重要視できるか」が日本代表が勝ち上がれるか否かのポイントと考えている。と同時に、過剰に結果を意識することは「実は単純ミスにもつながる」と同氏は指摘する。

「単純ミスは、集中のし過ぎから引き起こされるケースもあるんです。人間の集中は、あくまで1つのことや作業にしか向けられません。同時に2つ以上はできないんです。でもサッカー選手は試合中、ボールや味方の位置、相手のマークなど、色々なことに注意しなければいけませんよね。そういうとき、人間は集中する対象を細かく切り替えていきます。車の運転なども同様です。

 ただし、W杯などの結果が求められる舞台では、得てして集中が強くなり過ぎて、細かな切り替えがうまくいかなくなってしまう。勝とうという思いが強くなり、1つのことに集中し過ぎてしまうんです。実は、そこから単純ミスが生まれるケースが多いんですね」(同)

 人間の集中はスポットライトのようなもので、誰しもが日常の中で、集中の対象を細かく色々な方向へ切り替えながら生活しているのだという。あくまで2つのことに同時に集中することはできないようだ。