部下の育成を正しく行い、成果を上げるためには、3つのことについて考える必要があります。

〈1〉まず自部門の営業活動全体の流れを描いて、自分たちの営業活動自体が正しいかどうかを検証します。今回の質問は部下の指導についてですが、それにはまず自部門の“全体像”、つまり「業績を上げるための取り組み方」を理解することが出発点になるのです。
〈2〉次に営業活動の流れに従って、自部門で生じている問題を明らかにし、その原因をあぶり出し、解決法を考えてみるといいでしょう。なぜこの取組みが必要かというと、営業活動の問題は、マネジャーの考え方やマネジメントスタイルに起因する可能性があるからです。〈1〉と同じく、これも全体像を理解するために行います。
〈3〉ここで初めて部下それぞれの行動を見ます。売上が上がらない原因を営業活動の流れに沿って評価し、どこをどのように直せばよいのかのアドバイスにつなげていくわけです。

 今回の質問については、以上3つの領域について解説する必要があります。そこで今回は〈1〉について説明していきましょう。

部下にとって役に立つアドバイスとは?

 質問者によれば、良いマネジャーは「どうすればいいかを具体的に指摘してくれる」とのことですが、それはどのようなものなのでしょうか。

「もっと積極的に新規顧客を開拓しろ」とか「既存顧客とは知り合いなのだから、もっとたくさんの製品を買ってもらえ」、あるいは「効率のよい訪問活動をするように心がけろ」「もっと気合いを入れて頑張れ」というように、正論ではあるものの、個々の営業活動において成果を上げるためになんら参考にならないアドバイス(笑)を受けることが多いのではないでしょうか。

 当たり前なのですが、マネジャーが本当に意味のあるアドバイスを部下に行うためには、部下の活動に密着して観察するか、部下の活動結果がわかる数値(例えば、担当顧客数の変化、売上生産性推移や顧客別訪問頻度と業績の推移、販売製品別売上推移など)から、行動と成果の関係を分析するしかないと考えがちです。もちろん、それには膨大な時間と分析力が必要なため、結局は“一般論”か“自分の経験則”を伝えるのに終始してしまうのでしょう。

 質問者の上司は、おそらく活動結果を見て基本的な数値を評価し、部下に質問をすることで質問者の典型的な問題点を把握して、アドバイスしたのだと思います。ただしこの場合、マネジャーは自分が気になっていることに着目しがちです。

 多くのマネジャーは、営業スタッフを個別に見て、気になる点を指摘します。そんなことでは、部下の営業活動全体を評価した上で重要課題を特定化するのは困難です。つまりマネジャーの主観だけでなく、客観的に部下の活動を評価することで初めて効果的な育成が可能になるのですが、それには営業活動を評価するためのフォーマットが必要です。すると、フォーマットに従って営業個々人の活動を見て、より客観的に評価と、必要なアドバイスができるようになるのです。