いま高騰しているエネルギー価格は、
今後下落していくしかない

 歴史を振り返ってみると、デフレになるか、それともインフレになるかは、エネルギー価格に大きく左右されていることがわかります。

 産業革命期には、当時のエネルギー資源の代表格だった石炭が技術革新により大量に採れるようになり、その価格が大暴落したわけですが、現在のエネルギー価格はそこまでは暴落しないと思っています。

 それでも原油価格の1バレル=50~70ドルは当然視野に入ってきますし、天然ガス価格も世界的に平準化が進むでしょう。シェール革命で劇的に安くなっているアメリカのガス価格はこれから若干上がり、アメリカの2~3倍といわれる欧州のそれは下がる。そして、東日本大震災以来、足もとを見られて中東からべらぼうに高く買わされている日本のガス価格は大幅に下がる。私はそうみています。

 欧州ではもともと燃料として主にガスを使ってきましたが、域内のガス田が枯れ、ここまで高いロシア産ガスに頼ってきました。一方、アメリカのシェールガス価格は欧州の3分の1から2分の1。これでは、欧州もシェールガス開発に踏み切らざるをえないでしょう。

 もっとも、欧州はアメリカ大陸に比べて人口密度が高いので、アメリカより環境規制が強めになるのは避けられません。ですから、開発地域を制限して進めていく、あるいはシェールガスよりも、例えばオイルサンドのような在来型資源を開発していく方向に向かうのかもしれません。