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年配者には不親切なテクノロジー業界も
とうとうシニア市場に目を向け始めた

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第303回】 2014年7月9日
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シルバー世代に対して
テクノロジーを教育

全米のシニア活動を支援するNPO「AARP」のホームページ。ハイテク企業も注目

 AARPは、会員へのテクノロジー教育も怠らない。独自のユーチューブチャンネルでCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)からレポートして、孫に喜ばれるギフト案を紹介したり、グーグルグラス、ウェアラブル、ソーシャルネットワークの基礎に関する記事を掲載したり、プライバシーやセキュリティーに関した注意点を指南したりしている。

 オンライン、オフラインのテクノロジー教育プログラムも開催しており、最新テクノロジーをシルバー世代の会員に伝えることに非常に積極的。見方を変えれば、それだけテクノロジーをマスターしようとするシルバー世代がアメリカには多いということだろう。パーソナルテクノロジー関連の新製品紹介やレビューも、断続的に行っている。シルバー世代に使いにくい操作性があれば、そこで鋭く指摘されるだろう。現在は、抽選でグーグルグラスが当たるキャンペーンを実施中。AARPによれば、シルバー世代もグーグルグラスをかけていいということになる。

 シルバー世代も含めて幅広い年齢層へのマーケティングで成功している例としてよく出てくるのは、任天堂のWiiだ。バランスボードを利用してエクササイズができるWiiフィットや、ボーリング、ゴルフ、リゾートスポーツなどのゲームがシルバー世代にも人気で、Wiiなどのインタラクティブゲームを利用することが認知能力を高めるという研究結果もある。

医療ITの開発が急ピッチ

 こうした個々の製品に限らず、今後テクノロジー企業に求められるのは、健康管理や介護に関するシステムづくりだろう。インターネットを利用した医療機器、介護機器のIoT(モノのインターネット)、家に居ながら医療関係者にコンタクトできるテレメディスンなどのしくみだ。

 テレメディスンは各医療機関も推進しているが、GEとインテルは「ケアイノベーション」というイニシアチブを2011年にスタートさせている。

 医療機関、高齢者介護機関、保険会社、一般家庭向け介護サービス企業などと提携して、遠隔ケアや連続的なモニタリングを行い、同時に多数の人々のデータを収集して今後のサービスに役立てようというものだ。今後は、こうした目に見えないところでのテクノロジーの役割が評価されるようになるだろう。

 シルバー世代に向けてテクノロジーができることは、まだまだあるのだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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