(3)【思考】「自分の頭で深く考える力」

 そして「第5回の記事」では、「6つの脳力(のうりょく)」について、いくつかをご紹介し、「自分の頭で深く考える力」について解説いたします。

 まだ自分の中で「本物の勉強法」が確立されていなかったとき、私は「成績の良し悪しは、暗記力で決まる」と考えていました。合否を決めるのは、記憶力だと勘違いしていたのです。

 たしかに、暗記は必要です。ですが、暗記した知識を「応用」できなければ、さらに上のレベルの試験や、実際の仕事において、成果を出すことはおぼつかないでしょう。

 東大の入試問題も、司法試験の論文問題も、レベルが上がれば上がるほど、暗記力や記憶力を問う問題よりも、むしろ「思考力」の深さを問うてくるのです

 かつて東京大学の入試問題(数学)に「円周率が3・05より大きいことを証明せよ」という問題が出題されたことがあります。
 この問題は、本質的な「思考の深さ」を求める問題であって、「公式をちゃんと暗記しているか?」を求める問題ではありません。
 つまり「自分の頭で深く考える力があるか、ないか」を見極めているのです。

 むずかしい試験であればあるほど、「自分の頭で深く考える力」が試されています。では、どうすれば、「自分の頭で深く考える力」を磨くことができるのでしょうか。

「自分の頭で深く考える力」を磨くには、先ほど申し上げた「6つの脳力」を高める必要があります。

【6つの脳力】
(1)「記憶力」…効率よく「覚える力」
(2)「要約力」…文章や会話の中から「要点を読み解く力」
(3)「伝達力」…わかりやすく「伝える力」
(4)「論理力」…前提やルールと照らし合わせながら、「順序立てて考える力」
(5)「直観力」…自分の「経験から瞬時に判断する力」
(6)「本番力」…自分の力を「100%発揮する力」

 自分の頭で深く考えることができるようになると、勉強はもとより、仕事でも大いに役立つでしょう。
 勉強でも、仕事でも、人生でも、はじめから唯一の正解などありません。だからこそ「自分の頭で深く考える力」が大切なのです。

「本物の勉強法」は仕事にも活かせる!

 このように、勉強の成果は、この「3つの力のかけ算」→「(1)感情×(2)戦略×(3)思考」=成果、によって決まります。
 この「3つの力のかけ算」の数字が大きくなるように、それぞれの力を高めていけば、才能に関係なく、勉強によって大きな成果が得られるのです。

 そして、勉強だけでなく、仕事の成果も、「3つの力のかけ算」によって決まります。
 仕事も勉強と同じで、「新商品を発表する」「プレゼンテーションで企画を提案する」「いついつまでに、商品を制作する」といった達成すべき目標があります。

 目標達成に向けて無駄なく、無理なく仕事を進めていくときにも、
「(1)感情×(2)戦略×(3)思考」=成果
という公式を応用することができるのです。
 本書でご紹介する「本物の勉強法」は、奇をてらった勉強法ではありません。根本的で、本質的で、王道で、だからこそ「本物の勉強法」なのです。

 でも、だからこそ……、
「誰にでも使える勉強法」
だとも言えますし、将来の「試験」にも「仕事」にも、一生使える勉強法なのです。

 結果を出すために必要なのは、才能ではなく、「自分を信じて、愚直に、やり続けること」でしかありません。
「本物の勉強法」は、そんな「自分を信じて、愚直に、やり続ける人」を応援するための勉強法です