ポータルサイト最大手のヤフージャパン(以下、ヤフー)が、この9月にニュース・記事情報などを提供するコンテンツ企業に向けた新サービスを開始する。その背景にはニュース・記事情報の流通、読まれ方が大転換期を迎えていることがある。この変化は、ここ4~5年の間に起こり、一大潮流となった。この大転換はポータルサイトの王者・ヤフーのみならず、新聞社や出版社といったコンテンツ提供企業にも大きな影響を及ぼさずにはおかない。対応のキーワードは「スマホ」「動画」「関連リンク」の強化だ。

5月下旬ヤフーはメディア企業向けに、情報流通の将来を描くカンファレンス を開催した
写真提供:Yahoo!JAPAN

大転換の4つの特徴

 ヤフーによれば、大転換には4つの特徴がある。

 1つ目が、依然として続くネットの伸長だ。ヤフーの調査によれば、テレビとネットの利用時間を比較した場合、50歳代、60歳代ではテレビの方が圧倒的に長いが、30歳代、40歳代になると五分五分となり、10歳代、20歳代になると、ネットの利用時間がテレビの1.6倍となり、逆転する。若い世代の間では、もはやメディアの主役はネットなのだ。

 2つ目が、情報にアクセスするための端末の主役の交代。ネットを利用する際の端末が、PCからスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスに、急速にシフトしている。ヤフーでも、今年4月にはスマートデバイスのページビュー(PV)が、PCのそれを抜いた。

 3つ目が、スマートデバイスの普及とフェイスブック、ツイッター、LINEに代表されるSNSの隆盛によって引き起こされた情報消費対象の変化である。単なるテキスト(文字)情報から、画像、動画が表示された情報、あるいは友人や知人、著名人のコメントや評価のついた情報が読まれる傾向にあるという。

 4つ目は、特にニュース情報における特徴だが、最初に情報にアクセスする際にポータルサイトよりもアプリ経由で、ニュースに入って来る比率が高まっている。アプリをダウンロードしてニュースを読む読者は、ポータルから入って来る読者と比べて、回遊率(同一サイト内の閲覧数)が約2.5倍も高いという。それだけニュースをより多く読んでいるわけだ。