菜食主義には動物性食品を完全に断つものから卵ならOKといったものまで、さまざまな定義があるが、牛乳は大丈夫という考えだったようである。もし、あなたが厳しい菜食主義生活を送りたいのなら栄養学的な帳尻を合わせる必要がある。菜食生活で一般的に不足しがちな栄養価として挙げられるのは必須アミノ酸、ビタミンB12、ビタミンD、鉄分などだ。これらの栄養素は鉄分を除けばすべて牛乳に含まれているので、ガンジーはそれで栄養を補っていたと考えられる。

 また、栄養バランスを整える最も簡単な解決策は豆類と米というような第三世界的な組み合わせの料理を選択することだ。豆は必須アミノ酸が含まれ、鉄分、カリウム、カルシウム、食物繊維なども効率的に取れる食品で、インド料理では広く使われている。

 現代の日本人の食生活において、豆は摂取をもっと増やしたい食品だ。厚生労働省は1日100g以上の豆の摂取を勧めているが、平均摂取量にすると半分ほどしか達成できていない。主義にかかわらず我々は日常の食事のなかにもっと豆を取り入れるべきなのだ。

 ガンジーはイギリスで学んだが、西洋文明には否定的な見解を持っていた。広く知られている写真に彼が手巻きの機械で糸を紡ぐ姿を写したものがあるが、これは工業機械の導入によって雇用が奪われることに反対するためのポーズだったという説もある。これまでの日本は食生活をはじめ様々なところで欧米化を推し進めてきたわけだが、今の状況を顧みるにガンジーの思想から学べることは多いのかもしれない。

※参考文献/『ガンジー自伝』マハトマ・ガンジー著、蝋山芳郎訳

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