社内の評価が気になるのは当然。しかし…

 キャリア設計においては、無意識のうちに他人の目を気にしてしまうということがよくあります。ブランドのワナは、まさにその典型でした。同様に、 他人の目を気にしすぎたことによる失敗として、エリートコースにこだわる「社内評価のワナ」があります。

 会社に勤めていると、どうしても社内の評価を気にするようになります。「組織内で周囲から高い評価を受けたい」「より高いポジションに行くうえで有利なコースに乗りたい」と考えることは、ごく当然のことだと思います。ただ、外部の人材市場からの評価は、必ずしもその感覚と一致していないというお話をさせていただこうと思います。

社内の評価と人材市場の評価は違う

 例えば、ある都市銀行では○×支店を経ることが出世コースとして認識されており、そのような社内の評価を意識してキャリアを考えている方も見られます。もちろん、同じ会社で勤め上げるならば、社内の評価基準に沿ってキャリアをつくっていくという考え方も必要です。しかし、このような社内での基準が人材市場での評価に直結するとは限らないので注意しましょう。

 都市銀行から異業界に転職する時、社内で評価されているエリート支店の出身であることをアピールしても、応募先の企業からの評価にほとんど影響はありません。都市銀行から同じ金融業界へ転職する時には、「○×支店に配属されていたということは、社内での評価が高かったんだろう」と加点評価されることはあります。しかし、それも決定的な要素となることはほとんどなく、あくまでも面接での評価のほうが重要となります。

 将来、転職を通じてキャリアアップを検討されている方には、人材市場で評価されることが何かをきちんと知ったうえで社内のキャリアを考えることをお勧めしたいと思います。どうしても会社にいるうちは社内の評価を気にしてしまうものですが、一歩外に出たらまったく関係ないということが多々あります。日々、所属している組織のことなので、つい過大に評価してしまいがちなのです。