パナソニックの脱家電依存が、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域でも、大きく動き出そうとしている。
起点となるのは、3000万人の人口を抱え、毎年5%前後の経済成長が続くマレーシアだ。
韓国勢が攻め込むマレーシアの家電市場で、パナソニックのシェアは23%で首位。現地で50年以上事業を続け、約350店もの「パナショップ」を張り巡らせる中で培ってきた支持を、住宅という“インフラ”に、振り向ける青写真を描く。
まず照準を定めたのが現地の富裕層だ。
Photo by Masaki Nakamura
昨年3月、グループ会社のパナホームがクアラルンプール市内の高級住宅街に、三階建てで延べ床床面積約400平方メートルのモデルハウスを建設。省エネや換気性能の高さなどを前面に出して、販促に乗り出した。
売電価格が高いというマレーシアの特性を利用し、約7年で投資回収が可能という太陽光パネルの設置をアピールするなど、関連製品の売り込みにも余念がない。
ただ、パナソニックが住宅市場の主戦場として見つめるのはあくまで、世帯収入が月5000リンギット(16万円)前後で、一番のボリュームゾーンとなる中間層だ。