食育の現状と学校の役割
給食だけで食育は難しい

 今回、都内の公立私立の中学高校に対して、初めて食育に関するアンケートを行いました。回答者を見ると、校長・教頭といった管理職と現場の教職員とで二分されていました。記されたコメントを読む限り、両者の意識にはかなりの乖離があることがうかがえます。

 食育に対しては、管理職ほど「本来、家庭で行われるべき」という意見が多く、現場ほど「食育は家庭の役割が大きい」と思いつつも、何らかの学校での取り組みが必要と痛感している様子がうかがえました。

 健診結果における肥満・やせすぎの実態については前回述べましたが、アンケートで、「肥満または痩せの生徒が増えていると感じることはありますか」という問いに対して、「そう思う」が全体では17%であるのに、公立中学だけは突出して高く、47%にも及んでいました。都内の中学校では学校給食が実施され、栄養価もきちんと表示されているにも関わらず、でこの結果です。それはなぜか。

「わずか30分で盛り付け~食事~片付けまで行う給食を食育に結びつけるのは無理がある」(養護教諭)、「現場で各校の栄養士ががんばっていますが、まだまだ教員の方々の理解が低いところが多い」(栄養士)というのが現場の意見です。

 食育と家庭・学校の役割について尋ねました。「食育において家庭の役割は大きいと思いますか」という問いに対しては、「そう思う」とする答えが公立・私立の中高いずれにおいても9割を占めており、第一義的には家庭での取り組みが重要という認識では一致していました。

 また、「生徒・児童の心身の健康な発育、ならびに学業パフォーマンス向上に食育は重要であると思いますか」という問いにも、「そう思う」「どちらかというとそう思う」でほぼ100%を占めており、食育の重要性について疑問を挟む余地はなさそうです。