

ユーザーが手にするProject Araとして初めての端末「Gray Phone」は、2015年1月の発売を予定しており、価格は50ドル(約5000円)とスマホとしては格安に設定される見込み。販売方法は、グーグルが運営するオンラインアプリストア 「Google Playの」などから、ユーザーが直接購入できるような方法が検討されている。日本経済新聞の報道によれば、日本では東芝がGray Phoneに半導体を供給するという。
グーグルがスマホを自作可能にしようとする狙いは2つあると考えられる。
一つは、新興国や発展途上国の低価格スマホ市場に参入すること。Project Araの公式サイトには「(世界で)50億人がスマホを持っていない」と書かれている。
これまで寡占状態にあったスマホ市場を独自のシステムによって一気に解放し、中小規模のメーカーの参入と競争を促すことで端末の価格を下げようとしていると推測できる。ネット広告が主軸のグーグルとしては、スマホユーザー、つまりネットユーザーを増やしたいからだ。
もう一つの狙いは、ハードウェアの開発スピードをソフトウェア並みに高めること。これまでソフトウェアを開発するグーグルが新サービスをエンドユーザーに届けたい場合、ハードウェアの規格やメーカーの思惑に左右されることがあった。Project Araでユーザーがスマホを好きなように組み立てることができるようになれば、グーグルのサービスを利用したい人にいち早く、確実に届けることができるようになる。
スマホだけではない。米誌ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、このプロジェクトを派生させてモジュール型のモニターやディスプレイの開発も行われている可能性があるという。グーグルはありとあらゆるハードウェアを自作可能にしてしまうことで、既存のハードウェアメーカーを中抜きにし、その覇権をさらに拡大させていくつもりなのかもしれない。
(岡 徳之/Noriyuki Oka Tokyo & 5時から作家塾(R))