経営 X 人事

「人が育つ場所」は
どんな特徴を持っているか

 また、日本人サッカー選手の世界での活躍が最近目立ちます。彼らが世界で戦えるようになった大きな理由の一つは、日本のサッカー人口(競技人口)が昔に比べて増えたからだと思います。

 競技人口が増えれば、自然に頂点を目指す競争は激しさを増し、その競争を通して選手は、スキル的にもメンタル的にも鍛えられます。

 その意味で、どんな分野であれ、最初のステップは、興味がある人を増やすことです。

 そして、各階層(小学校、中学校、高校、大学、実業団、プロ)ごとで人材が能力を十分に伸ばせる環境を整え、優秀な人材を発掘するメカニズムを作るのです。好むと好まざるとに関わらず、プロフェッショナルが活動する分野は、一握りのトップ・プロを頂点としたピラミッド構造になる傾向があります。

ビジネスは「人を集める活動」です。営業やマーケティングはお客様を集め、人事部は自社で働く仲間とその候補者を集めます。

 そして、当たり前ですが、たくさんのお客様と自社の文化にフィットした優秀な仲間を集め、維持することができれば、その会社は成功します。毛沢東ではないですが「数は力」です。人が集まらなければ、何も始まらないのです。

特徴2
ライバルとロールモデル

 外資系企業のリーダーシップ開発で良く使われている概念(フレームワーク)の一つにハーバード大学のラム・チャラン教授が提唱する「リーダーシップ・パイプラインモデル」があります。

 このモデルを簡単に説明すると、組織の各階層(係長・課長、部門長、取締役)にリーダーシップを発揮できる人材をしっかり育成、配置することで組織力を高めようという考え方です。そして、当然ですが、パイプラインのどこかが壊れてしまうと全体のレベルは高まりません。

 ウォルト・ディズニーは、「ライバルがいるからこそ、前に進むことができる」と述べていますが、私は、ライバルの存在に加えて、ロールモデル(ああなりたい、と思うあこがれ)があるからこそ、人は成長できるのだと考えています。

 自分より能力が高い人(上には上がいる)がいることに気付かされる環境に身を置きつづけなければ、やがて井の中の蛙になり、自身の成長が止まり、謙虚さを失ってしまいます。

 リーダーにとって謙虚さはとても大切です。もちろん、直属の上司が自分ロールモデルになるのが理想ですが、難しいことも多いかもしれません。

 場合によっては社内全体を見渡してもロールモデルを見つけることができないこともあるでしょう。

 もしそうだとすれば、社内でロールモデルが見つからなければ社外から、国内から見つけられなければ国外から探すことも可能です。多くの人がロールモデルを見つけ、そのロールモデルを乗り越えようとするとき、真の組織力が出ると思います。

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鈴木雅則

1972年福島県生まれ。QVCジャパン 人事部門 タレントマネジメントグループ ディレクター。
(米)コーネル大学人材マネジメント・組織行動学修士。GE(ゼネラル・エレクトリック)とグーグルで採用・リーダーシップ開発業務などに携わる。2011年、人事コンサルタントとして独立し、主に日本企業に対してリーダーシップ研修や人事コンサルティングを実施した。2013年、QVCジャパンに入社。2014年より現職。著書に「リーダーは弱みを見せろ」(光文社新書)がある。KPCマネジメントスクール「経営人事イノベーションコース」講師。


次世代=グローバル人事へのヒント

外国人の採用など、多くの企業が人事のグローバル化を迫られている。従来型の制度設計では齟齬を生じる場面も多いだろう。では、どのように考え、何を変えればいいのだろうか。筆者はGE、グーグルで採用と育成に携わった。その経験をベースに、一般的な外資系企業ではどんな人材マネジメント(標準的な型)が行われており、その人材マネジメントはどのような前提やフレームワークをベースに行われているのかを考察する。

 

「次世代=グローバル人事へのヒント」

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