空港を検閲すれば
感染は防げるという認識

 上記のようにASEAN各国の中でもシンガポールや中国、タイなどの対応は実施されているが、総じていえば、エボラに対しての深刻さはまだあまり感じられない。

 その要因としては、エボラ発生諸国とアジアを結ぶ航空便・海上での交流が少ないためだと思われる。

 ASEAN諸国の多くには、エボラが発生した国々との貿易、航空、海上ラインが少なく感染リスクが低いという認識がある。重点的な検閲ポイントとなるのは大都市の国際空港であり、そこでの検閲できれば国内に広がるリスクは少ない。

 その中で中国は唯一、ギニア、シエラレオネ、リベリアと貿易および投資を行っているため、国内でのリスクの認識は高まってきていると言えるだろう。

SARS、新型インフルによる
パンデミックの教訓を生かす

 ASEAN諸国は過去にSARS、H1N1、H5N1(新型インフルエンザ)などの大規模な感染(パンデミック)を経験している。

 2002年、SARS(重症急性呼吸器症候群)が中国で発生し、ベトナム、カナダ、シンガポール、香港、台湾などに感染者が広がった。世界保健機構(WHO)の発表によると、感染の疑いがあった人は8454人、死亡者は792人にのぼった。一方、H1N1、H5N1などの新型インフルエンザは、2009年全世界に広がり、WHOがパンデミックと公式に発表、約1万4000人の死者を出した。

 エボラ出血熱に感染すれば70%という高い致死率であるが、感染率は平均1.5~2.2人という結果が発表されており、SARSや新型インフルエンザのように空気感染ではないため爆発的な感染拡大は考えにくい。