世界の主なプレートの動き。一定の方向に年間数センチずつ動き続けている
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 しかし、「プレートは動く」としても、岩石実験などで強い圧力をかけると、岩石どうしは簡単には滑ることはない。何か滑らせるものがないと、固く噛み合った地下のプレートが、滑る(ズレる)という現象自体、説明がつかないと科学者たちは考えている。

 プレートを滑らせるものとは何か。これについても3.11の巨大地震は大きな手掛かりを残していた。

地震の「最後の引き金」は水だった!?
海水に含まれたヘリウム3とは何か

 実は、「滑らせるもの」の正体は「水」だった。それを証明したのは、地震とは別の分野の研究が発端だった。

 震災以前から東北沖で海の水の循環を調べていた東京大学の佐野有司教授が、たまたま大震災の1ヵ月後にとった水から、普段は見られない「ヘリウム3」という物質が大量に含まれていることを発見したのだ。

巨大地震で、マントルからの水がプレート境界を通って出たと考えられている

「ヘリウム3」は通常、地下のマントルの中にある物質である。その物質が、震災直後に東北沖の海水から得られたことから、巨大地震の際に大量の水と共に出てきたものと推測された。地下深くにあった水が、固くかみ合っていたプレートの境界に徐々に入り込み、プレートを滑らせ巨大地震を発生させたのではないかと考えられている。

 つまり、巨大地震の「最後の引き金」を引いていたのは、潤滑剤のような役割をしていた「水」だったのだ。

 地震発生直前に地下水の水位が上昇する現象が起きていたという証言は昔から多数あり、「地震には水が関係している」と、言われてきたが科学的に明確には解明されていなかった。それが今回、地上にはほとんど見られないヘリウム3が見つかったことで、地震と水の関係が明確になったのだ。

 今後、地下の水の動きが観測できるようになれば、地震発生を予測する手掛かりとなる可能性が出てきている。