世界各国では大臣クラスが
サイバーセキュリティ担当に
なるのは当たり前
この11月、ドバイでの国際会議にサイバーセキュリティ部門の日本代表(内閣府参与)として出席しました。各国の代表は、FBIや国連、NATO(北太平洋条約機構)の元トップなど、大臣クラスのそうそうたるメンバーです。こうした人たちの真剣なディスカッションを目の当たりにすると、日本の政府や企業のサイバーセキュリティに対する危機意識の低さ、認識の甘さを改めて感じます。
今やハッカーは世界中に存在し、各国で事件が多発しています。個人のハッカーもいれば、国際的な組織の関与が疑われるケースもあり、その動機や背景もさまざま。米国防衛総省では「外国政府からのサイバー攻撃は戦争行為とみなし、米軍による武力行使も辞さない」との声明を発表しています。世界では“カタチを変えた戦争”が横行しつつあるといってもよいでしょう。
企業レベルでみても、たとえば過去に米国でソニーのプレイステーションのネットワークにハッカーが不正侵入し、個人情報が大量に流出しました。賠償などを含め1000億円を超える損害が出れば、経営を揺るがす甚大なダメージを受けることにもなり兼ねません。
しかも、ハッカーたちは手を替え品を替え攻撃してきます。日本では、事件が起こるたびに警察、経産省、総務省、外務省、防衛庁が集まって対策会議を開いていますが、セキュリティ対策には、国際的な専門家との交流・情報交換、世界各国との協力体制の構築、セキュリティ先進国の事例研究・導入などに積極的に取り組むことが不可欠です。各国が大臣クラスのサイバー担当を置き、国際会議に送り込んでいるのもそうしたワケがあるからなのです。
担当者が持ち回りの日本は、
世界から信用されなくなる日が近い!?
日本は国内の課題と同じ感覚でサイバーセキュリティ対策を考えているようです。日本の官僚は一般に1~3年で異動を繰り返しますが、担当者が持ち回りのような状態では世界から信用されなくなるのは目に見えています。