では、彼ら「プロ若者論者」が今の政治、とりわけ今選挙戦の何に苛立っているのでしょうか? 計画より行動を重視する天才肌のイノベーターと異なり、ロジカルにかつ慎重にリスクとリターンを見極めて現実的解決策を志向する方々でしょうから、どの政党も「本当の争点を言っていない」ように見えるのではないでしょうか。つまり政府が短期的に景気浮揚策をしたところで、遠からず訪れる超高齢化社会にどう向き合うべきなのか、本質的なビジョンを元に政策論戦をしていないことに強い不満を持っているのだと思います。

 もっと具体的に言えば、人口と税収が長期的に減少していく中で、社会保障費は増えるばかり。いわゆる「ワニの口」問題です。超高齢化を迎える中で年金、医療等の社会保障制度をどう持続させていくのか。厚生労働省が予想する2025年度の社会保障給付費は148兆円。これは2013年度より37兆円もの増加です。学習院大学の鈴木亘教授の推計では、35年度には189兆円、50年度には257兆円になります(出典;「社会保障亡国論」)。こういう数字が見えてきている中で、負担を先送りして孫の代の分まで借金を重ねる暮らしを続けていくのか、それともどこかで断ち切るのか、建設的な論戦を望んでいる人は、「プロ若者論者」ならずとも若い世代のかなりの割合はいると見ています。

アベノミクスの是非が
争点といえるのか

 今回の選挙でアベノミクスの是非が問われています。安倍総理の解散決断の要因とされる14年7~9月期のGDP速報値は年率換算でマイナスとなる厳しいもので、野党からは「アベノミクスは失敗」という批判の声が上がっています。しかし事はそう単純ではありません。

 そもそもこの国のつまずきは90年代の政策失敗にさかのぼると思います。巨額の公共工事を行い続ければ景気は浮揚させられるだろうと、旧来型の経済政策を繰り返した結果、国の借金は雪だるま式にどんどん膨れ上がっていきました。人口減少と長寿化で高齢化が進み、社会保障費が増えてきたのに消費税は1997年に3%から5%に引き上げられて以降、17年間据え置かれたままでした。