埼玉県最大規模のターミナル駅として発展した大宮駅から、埼玉新都市交通に乗り換える。人気の鉄道博物館駅を通り過ぎて、約20分で内宿駅に着く。今日の主役であるアースダンボールの奥田敏光社長自らがハンドルを握って、迎えに来てくれた。
内宿の駅から車で5分ほどの距離にある工業団地の一角に、アースダンボールの本社兼工場がある。年商は約6億円、従業員は約30人。今年度こそ不況の影響で売上は横ばいだが、ウエブ販売に工夫を凝らし始めてから業績が伸び始め、このところ毎年10%ずつ売り上げを伸ばしてきた。この段ボール箱の業界、実は非常に数多くのメーカーがひしめいている。
奥田敏光・アースダンボール社長 |
奥田社長:段(ダン)ボールの業界は、川上は例えば王子製紙さんなどの大手が、原紙を作っています。中流に原紙を買ってきて、ダンボールの板にする会社がある。その会社はコルゲーターという機械を使います。コルゲーターを持っている会社は板を作っている会社と、板から箱まで一貫して作る会社に分かれる。下流は、コルゲーター・メーカーから板を買って箱にする、いわゆるボックスメーカー、簡単にいうと箱屋さんです。うちは箱屋さんですね。
ボックスを作っている会社はおおよそ2000社くらいと言われています。板を買ってやるのであれば、本当に2、3人でもできますから。うちの規模だと中の上くらいになるのかな。100人くらいの会社になると、大体コルゲーターを持っている会社が多いと思います。
WEB販売の原点は
個別原価計算システム
アースダンボールは、経済産業省の「IT経営百選」にも選ばれた。WEBを利用した販売ばかりが注目されるが、実はその販売の背後には、メーカーの基本の基本である「原価計算」の精度を上げようという地道な努力があった。
WEB販売していることが特徴ですが、バックグラウンドにあるのは、個別原価計算に基づいて、段ボールの見積もりを出す方法が確立されていることです。業界的にみれば、個別原価計算がちゃんとはできていなくて、平米(へいべい=平方メートル)計算という、平均の加工賃をダンボールの面積に掛けていくという方法が主流です。