IoTによって
ビジネスの「サービス化」が加速する
12月4日、東京で開催された「セールスフォース ワールドツアー東京」に合わせ、米国本社から来日したプラットフォーム担当責任者のマイク・ローゼンバウム氏が単独インタビューに応じた。ビジネスを変える大きな潮流として注目されるIoT(Internet of Things=モノのインターネット)時代における、セールスフォースの役割と強みはどこにあるのか。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 指田昌夫)
――セールスフォースは自社のサービスを「カスタマー・サクセス・プラットフォーム」と呼んでいるが、IoT時代の顧客の成功とは何を指すのか。
マイク・ローゼンバウム(以下・ローゼンバウム) まず背景として、あらゆる産業にサービス業の要素が深く入り込んできている状況がある。たとえば自動車メーカーは「モビリティというサービス」を提供し、アップルは「インターネットサービス」を提供している。そのため企業のビジネスは、従来よりも高度になってきていると言える。
サービス化の時代、顧客企業がエンドユーザーによりよいサービスを提供することが企業の成功であるといえるだろう。そして、企業顧客のサービス提供をITでサポートするのが、セールスフォースの役割だ。
今回、イベント内で日本の事例としてご登場いただいた「サトー」という業務用ラベルプリンタのメーカーは、まさにIoTを実践する企業だ。
業界に先駆けて、自社が販売したプリンタをネットにつなぎ、24時間監視するシステムを構築した。「バーチャルエンジニア」と呼ぶソフトウェアが、プリンタが故障する前に異常をサトーに通知し、サービスマンを派遣することでプリンタの稼働率を100%に近づけることができる。しかも、このサービスは国内だけでなく世界市場に対して同時にリリースした。これは、サトーがプリンタのメーカーから、グローバルな「プリントサービス」の企業へ変貌したことを表している。
――サトーの例では、セールスフォースは何に関与しているのか?
ローゼンバウム サトーは、インターネットに接続したプリンタから集められたデータを用いて、どうしたらプリンタが壊れてしまう前に先回りしてサービスを提供できるかを考えた。そしてセールスフォースの基盤を使って、プリンタの状態を監視して、サービスマンのモバイル端末に対して通知をプッシュするアプリと、その接続プログラムを開発パートナーとともに開発した。