ローコストで豊かな生活ができる国はどこか。アジアで最も人気が高いのはマレーシア。10年間有効で、更新も可能なMM2Hというビザを発行している。他国のリタイアメントビザと違い年齢制限がなく、アーリーリタイアメントに最適。物価は日本の3分の1程度。美しいビーチリゾートやジャングルリゾート、史跡なども豊富。首都クアラルンプールは大都市に発展しており、治安は日本と同等以上に良いという。

 マレーシアで人気急上昇の都市がシンガポールと運河を挟んで対岸に位置するジョホール・バルだ。マレーシアもシンガポールと同様に海外資産の運用益は非課税なので、MM2Hを取ってジョホール・バルに居住し、シンガポールで資産運用を行う投資家も増えているという。

マレーシアは
親子留学で人気

 荒木隆さん(41歳)は3年前、妻と2人の子どもとジョホール・バルに移住した。親から相続したマンションの賃貸収入が生活のベースだ。

 「考えるきっかけは東日本大震災だったが、最終的な決め手は子どもの教育。閉鎖的な日本の学校で育てるより、世界に開かれた教育を受けさせたかった」と荒木さんは言う。2子は現在、国際バカロレア認定のインターナショナルスクールに通っている。「自由で生徒本位の素晴らしい学校。子どもも学校が大好きなので安心している」。国際バカロレアは修了すれば世界の多数の大学に無試験で入学できるため、子どもの将来に不安はほとんど感じない。

 昨今は子どもの教育のために海外を選ぶ例が多く、父親が日本で働いて母子が海外の学校に行く「親子留学」も急増している。子どもに国際感覚が身に付いていれば、日本が財政破綻の危機に陥っても、海外にスムーズに移住できるだろう。

 さらにリーズナブルなのはフィリピン。物価も人件費も格安で、年金暮らしに向いている。介護や療養が必要な人や、50歳以上の年金受給者は100万円ちょっとの定期預金でビザが取れる。英語がアジア一上手で、介護、看護のレベルも高い。低予算で手厚い介護や看護を受けながら過ごす余生もいいかもしれない。

 「スペインの不動産を貸してマレーシアに住み、シンガポールかドバイで資産運用し、暑い時期にはバルセロナに戻るなど、住む、稼ぐ、運用する、子育て、遊ぶ場所を分けて考えるのもいい」と大森氏は言う。

 失敗しない海外移住をするためには、自らの資産と収入と各国の制度を照らし合わせて無理のない計画を立てることが重要だが、結局はその国の生活を楽しめるかが最も重要になってくる。ダイヤモンドQ編集部としては、いきなり移住をするのではなく、まずは2~3ヵ月の「プチ移住」をして、その国での暮らしを体験してみることをお勧めする。