入社一年目のコンサルが
徹底的に叩き込まれる“プロ意識”とは

――必要なビジネス・スキルを一冊に凝縮したとのことですが、その選別基準はどこにあるのでしょうか。

大石 例えばMBAシリーズなどでも数多くのスキルが紹介されていますが、その全てを網羅することは難しいですよね。また人によっては習得する必要のないスキルもあるはずです。

コンサルティング・ファームの新卒は<br />なぜ一年目から活躍できるのか?

大石哲之[ティンバーラインパートナーズ代表]
 1975年東京生まれ。慶応大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社、戦略グループ所属。退社後、株式会社ジョブウェブの創業、副社長。その後、個人事業主でのコンサルタント活動を経て、株式会社ティンバーラインパートナーズを設立、代表取締役(現職)、著作・ブロガー活動を始める。現在は、仮想通貨関連の事業をメインに関わる。

『コンサル一年目が学ぶこと』は私の実際の経験と、他業界でも活躍している元コンサルの方に取材を行って、本当に“大切な”ビジネス・スキルだと思われるものだけを収録しました。だからコンサル業界でしか必要とされない細かいデスクワークの技術や、経営戦略論やマーケティング、財務の知識など枝葉末節にあたるものはこの本に含んでいません。
 全てのビジネスパーソンに活用してもらえるような「基礎」をまとめました。

――中でも印象的だったのは「プロフェッショナル・マインド」です。
 普遍的ではありますが、このマインドを徹底的に叩き込まれるのはコンサルティング・ファームならでは、という側面はあるんでしょうか。

大石 本書の中にもありますが、私が実際に一年目のときに怒られた記憶は今でも強烈に残っています。たばこ休憩で雑談が盛り上がってしまい、その場に長居してしまった私に上司はこう叱責したんです。

「うちの会社がクライアントに請求している金額を知っていますか?(中略)その額は1時間に1万円といったところです。20分も休憩していれば、その料金は何千円もの金額になるのですよ。(中略)だから、プロフェッショナルな態度をとってください」

 プロであり、クライアントあっての仕事であり、個人事業主と同等の意識を持って仕事をするというマインドをこのときに植え付けられました。それは今でも心に残っているし、自分の糧になっています。

――「期待値を越える」という言葉も本書の中で象徴的に使われていますね。

大石 「期待値を越える」には2つの意味があるんです。1つは期待値をコミットしたならばそれを必ず上回るということ。先程の「プロフェッショナル・マインド」と非常に近いものです。