「アジアナンバーワン大学」
シンガポール国立大学を視察

 こんにちは鈴木寛です。

 1月下旬、東大、京大、早稲田大学、筑波大学、東工大、慶應などの副学長クラスを含む教授陣とシンガポール国立大学(NUS)へ、その強みを分析するため調査に行って参りました。国家戦略としての人材への投資、アジアの新興国の勢いをどう日本の大学人材に取り入れるか、改めて考える機会になりました。

 シンガポールはご承知の通り、東京23区並みの面積に、北海道と同程度の540万人が住んでいます。19世紀前半に英国の植民地となり、1965年にマレーシアから独立しましたが、狭い上に天然資源を産出しない地勢にあって、「人材こそ資源」と位置付けてきました。それがいかに国家戦略として明確化されているかは、人材開発省という省庁を設置していることでも明らかです。経済発展を確かなものとするため、国際競争力のある労働力と充実した働く環境の実現を目指してきました。

 シンガポール国立大学(NUS)は、英国のQS社が研究者や企業の評判等で判定する世界大学ランキング(2014~15年)で22位とアジアトップ(日本では東大の31位がトップ)。2013年には、NUSが米エール大学と提携したエール・NUS大学も開学しており、国際的な存在感が急速に高まっていることが分かります。

シンガポールではワインセラー
日本では「理由書」が完備

 その背景としては、産業界と政府がNUSに投資をし、大学にも自治を与え、世界中の優秀な研究人材をスカウトしていることが大きいのです。また貿易産業省が、A*STAR(シンガポール科学技術研究庁)という外郭団体を設置し、大学の研究を基にしたイノベーションをサポートしているのも大きな特徴です。そういうわけで産官学の連携が非常にうまくいっています。

 現地には2日間ほどの滞在でしたが、NUSの先生方とディスカッションをし、A*STARの科学技術政策や、生体医療の研究拠点であるバイオポリスへの投資状況について視察やヒアリングをしました。