Global Gaming EXPO 2014年会場にて筆者撮影

 日本にとってカジノを含むIR(統合型リゾート)の解禁には、賛否両方の論点があることをこれまで述べてきた。ちょうどこの原稿を書いている2月19日、政府が大阪市と横浜市の2ヵ所で、2020年までに統合型リゾートの開業を目指す方針であるとの報道が流れた。 通称「カジノ法案」が成立していない現段階では、これは正式な決定ではあり得ないが、少なくとも、IR解禁に向けて水面下での活動が本格化してきていることがうかがえる。

 仮に解禁した場合においても、日本にとって有効な(メリットを最大化し、デメリットを最小化する)ビジネスモデルを構築する必要があり、そのビジネスモデルに誘導するために規制やルールを効果的に設計し、さらに狙いたいビジネスモデルに対する経験と実績のあるカジノオペレーターをパートナーとして選んでいく必要がある。

 そして、統合型リゾートによる経済的な波及効果を、一部の企業のみでなく、多くの日本企業が実感できるようになってこそ、意味のある取り組みだと思う。今回は、日本企業にとってどんなビジネスチャンスがあるのか、という点に注目して話を進めていきたい。

統合型リゾートが解禁されると、
どんなお金の流れが起こるのか

 大まかに言って、3つの領域で大きなビジネスチャンスがある。1点目は、一施設あたりの投資予算が数百億から数千億といわれる統合型リゾートの開発プロジェクトそのものに関与することである。2点目は、カジノオペレーターとして実際の運営に参画することである。ただし、海外のカジノオペレーターと共同で行うという形が現実的だと思われる。

 そして、一番裾野が広いのが3点目で、統合型リゾートを運営していく上で必要となる、製品やサービスをカジノオペレーターに対して提供していくビジネスである。

 日本が目指す統合型リゾートはカジノだけでなく、ホテルやレストラン、ショッピングモール、劇場、展示場など数多くの施設を併設するものとなる。カジノオペレーターは、他の類似の施設にないような、デザイン性が高く、顧客の興味をひくような斬新な大型施設を設計、開発するだけでなく、持続的に魅力的なサービスを提供し続けるために、常にいろいろな企業と連携を強化し、エコシステムを作っていく必要がある。