塩崎大臣vs厚労省
官製相場の主役のガバナンス問題
株価が日経平均で1万9000円を超え、官製相場の主役と目されるGPIF(年金積立金管理運用特別行政法人)への関心が高まっている。国民としては、130兆円を超える公的年金の積立金がどのような体制と責任の下で運用されるのか興味のあるところだし、市場関係者は「公的相場操縦」の執行部隊であるGPIFの意思決定過程が気になる。
現状では、GPIFは、基本的に理事長(三谷隆博氏)が決定権と責任を負う独立行政法人として、厚生労働大臣の命ずる運用を執行する組織だと理解される。
ただし、専門性の高い資産運用に関しては、有識者によって構成された運用委員会の審議を参考に、現場の責任者として民間運用会社出身の水野弘道氏(通称「CIO」:Chief Investment Officer)をスカウトするなど、理事長をサポートする体制を取っている。GPIFは資産運用に関する専門的人材を集める準備として、理事長とCIOの年俸を大幅に引き上げるなどの手も打っている。
一方、GPIFを所管する厚労省の塩崎恭久大臣は、かねてよりそのガバナンスを問題視しており、昨年の就任以来、GPIFのガバナンス改革を早く行いたい意向を持っていた塩崎大臣と、現行体制を大きく変えたくないとされる厚労省(いずれも伝聞であるが)との確執があると伝えられてきた。
こうした言われ方は塩崎大臣側で不満に思うかもしれないが、両者の争いは当面、厚労省(年金局)側が勝利を収め、GPIFのガバナンス改革は先送りとなっていて、先頃、3月末で任期を迎える三谷理事長の続投が報じられた(14日・ロイター)。
しかし、報道によると、三谷理事長の任期は今後のGPIFのガバナンス体制の議論によって短縮される可能性があり、また、同氏は任期一杯での辞任の意向を持っていたが、後任の調整が付かずに慰留されたという。確かに、三谷氏にとって、現状のGPIF理事長は、高給ポストにはなったものの、留任して気分の良いポストではなさそうに思える。総合的にはお気の毒だ。