あとの人へ伝えていくのが使命
だから、年配の人もいいと考えたことは自分だけのところに置かないで、あとの人へ伝えていく。これが使命だと思うのね。
もう3回ぐらい講演会にきてくれている若い人たちのグループがいるの。それで「どうしてきてくれるの?」と聞いたら、「誰も教えてくれる人がいない」「はっきり言ってくれる人がいないからきている」って。
若い人たちは知らないことが多いので、経験した人がやさしく教えればいい。簡単なことでも「当たり前にわかっているでしょう」というのではなく、親切にしてあげたいし、仲よくやっていきたい。
質素と忍耐の大切さ
敗戦後70年、この間に欧米式できているから、今の若いお母さんたちも昔のことがわからないのですね。
そういうことを考えると、みんなが力を合わせてやっていくとよくなっていくということがわかります。
わたしはどうしても昔の考えの人間。
戦争体験があるから生活が質素なんです。
スタッフからも「今の流行ではない」と言われますが、どこまでも質素で、食べ物も品物も最後まで生かさないと嫌なんです。
それでずいぶん笑われてきたけれど、今回の震災で、質素と忍耐の大切さがわかりました。「あんたの時代がきたね」って周りから言われたの(笑)。
昔のものこそ生かされて、
今は今の新しさになる
そして昔のものが古いのではなく、昔のものこそ生かされて、今は今の新しさになるのではないかと思うの。
数年前に忘年会をやったときに若い人たちが10人ぐらい集まったの。
「何が食べたい?」と聞くと、「切り干し大根の煮物」だって。みんなつくり方を知らないの。
それでみんなで試行錯誤しながらつくったら全部成功。
知らないからつくらないのではなく、これはどうしたらできる? というところから始めると解決の方法が出てくるんですね。
特にわたしはこうした昔の料理のよさを若い人たちに伝えたいと思っています。
昔の料理のよさは食材を生かすところ。
手間はかかりますが、一つひとつ手間をかけて心をかけてつくったお料理は、食べた人の心に響きますから、やっぱり食というものを大事に考えて、みんなで一緒に食べるといいんですね。